抄録
本研究は,高等学校理科で「口頭によるアーギュメント」の能力を高める指導法を開発することを目的とした。まず,高等学校を卒業した段階のアーギュメント能力を把握するために,大学 1,2 年生に対し,2 人 1 組で議論をしながら課題に取り組んでいる際の様子を録音し分析した結果,アーギュメントの構造(主張・論拠・データの 3 つの要素を伴うアーギュメントを構成できているか)と,その際の思考の質(形式的な論理,非形式的な論理の使用の仕方)に課題があることが明らかとなった。次に,これらの課題を克服するための指導法を設計し,その効果を検証したところ,アーギュメントの構造と思考の質の両方に対して効果が見られた一方,思考の質については課題も示された。