2020 年 34 巻 10 号 p. 59-64
2017年3月告示の学習指導要領では,小学校算数科および中学校数学科の統計に関する学習内容が新領域「データの活用」として独立領域化された.また,高等学校数学Ⅰに仮説検定が新規に加わるなど,情報Ⅰとの連携が重視された改訂となった.加えて,統計的データを批判的に考察し判断する力を小・中学校および高等学校を通じて段階的に指導する内容が含まれた点が強調されている.しかし,これまでの統計に関する学習内容を新領域「データの活用」として体系化しただけでは,教員が適切に指導できるとは言えない.
そこで,本研究では,教員が「箱ひげ図」など新規に加わった統計の学習の実践を効果的に展開するための教材を作成した.教材作成にあたっては,国民的な関心事でもある新型コロナウイルス関連のデータを活用して,新型コロナウイルス感染者数などの傾向を小・中学校および高等学校を通して体系的に考察できる教材とした.