2019 年 34 巻 3 号 p. 223-226
学習指導要領の改訂に伴い,統合的・発展的に考えることが重要視されている.本稿では,中島(1982)が分類する3種類の統合の中から「集合による統合」に焦点を当て,算数・ 数学科の授業において子どもが「共通の観点」を見つけ,これまでは異なったものとして捉えていたものを一つにまとめることができるような指導を提案するために,「異なったもの」の分類を明らかにすることを目的とする.そのために,小学校算数,中学校数学の学習指導要領解説や全国学力・学習状況調査,授業実践の先行研究,教科書から「集合による統合」に分類される事例を集め,子どもの思考過程に沿った枠組みに当てはめることで事例を視覚的に詳細に見れるようにした.その結果,子どもが「異なったもの」として捉えていたものの正体が,① 概念,② 表現,③ 問題,④ 解法の4種類に分類できることが明らかになった.