2020 年 34 巻 7 号 p. 15-20
本研究では,中学校理科において,ディープ・エコロジーの視点を導入した「校庭の身近な自然との一体化体験」を実践することにより,自然との一体化を実感した生徒が,何を知覚して一体化を実現し,それにより何を感じ,考えたのか,高校生の実践結果との比較を通して,その特徴について明らかにした.1点目として,聴覚と触覚を使って風の感触,鳥や虫の声等を知覚することにより自然との一体感が高まり,心地よさ,心の安定を感じることは,高校生と同様であることが明らかになった.2点目として,自然との一体化における心地よさ,心の安定を感じることが,自然を大切にしたいと考えることへとつながったことは,高校生と同様であることが明らかになった.3点目として,高校生の実践結果と比較すると,視覚を遮断して,より聴覚と触覚を使って知覚していること,人と自然との共存をより身近な出来事として捉え,具体的な行動内容として,環境保全行動のみならず,植物を育ててみたいという生命尊重の心の育成が促進されたことが,中学生に顕著にみられた点であることが明らかになった.