日本科学教育学会研究会研究報告
Online ISSN : 1882-4684
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発表
帰納と演繹の過渡的段階における推論についての一考察
大林 正法
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2020 年 35 巻 3 号 p. 131-136

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抄録

図形教育における推論についての指導は現行では,小学校段階では主として帰納が中心であり,中学校段階で演繹が中心となる証明学習が行われている.しかし,小学校段階においてもある程度の演繹的推論は可能ではないのか.そこで,可能であるとすればどこまで可能であるのかを具体的に明示化することは小学校から中学校への図形教育の連動させていく上で重要であると考える.この過渡的段階おける推論の様相を明らかにすることを研究目的とする.小学校段階においては証明学習は未習であり,アーギュメンテーションを証明に至るまでの立論形式として捉えるのが適当であると捉える.アーギュメンテーションについては,Reid with Knippinng(2010)が先行研究として様々な見方や証明との関連等を述べ,詳細に類型化している.従って,児童へのアンケート調査や実験授業を行い,アンケート結果や児童の発話の中のアーギュメンテーションをについて,van Hiele(1984)の思考水準論や岡崎(1999)の定義の水準論を基にReid(2010)等のアーギュメンテーションの分類を枠組みとして分析を行う.その結果,Reidの類型が小学校段階にもみられ,一定の演繹的推論は可能であることを示した.

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