近年教育活動において,学習者の主体的な活動や,課題解決などの探究活動の機会が増えている.日本の初等中等教育においても,小グループでの学習者による探究活動や,探究的な要素を取り入れた授業の開発や実践研究が報告され普及している.一方,そのような学習者主体の授業評価においては,異なる授業方法を比較したり,学習者への教育効果を比較したりする,学習者についての評価法が用いられていることが多く,授業そのものの特徴を明らかにする方法は少ない.本研究では,学習者主体の活動を見込んだ授業の特徴を可視化する評価ツールの開発と,それを用いた異なる授業の評価を試みた.評価ツールの開発にあたって,米国で開発されたRTOPをベースにし,ルーブリックによる評価基準を付加して,評価者によるばらつきを軽減させた.大学初年次生対象の物理学の2つの講義と,複数の小学校理科授業を評価し,開発した評価ツールが授業の特徴の可視化が可能であり,学校種の異なる理数系の授業で使用できることを実証した.