2022 年 36 巻 5 号 p. 13-18
本稿では,進化分野「適応」概念の事例を取り上げて,Conceptual Profile Theory(CP理論)における生物学の概念に関するCPモデルの特徴を吟味することにより,以下の点を指摘した.第一に,発生の順序の観点において垂直的なヒエラルキーを想定しつつ,有効性の観点において4つの思考モードを水平的に併置・共存させていること.第二に,インフォーマルな思考モードに対してフォーマルな思考モードと相互補完的に働く不可欠な思考モードとしての価値を認めていること.第三に,個人の思考の根底にある認識関心が概念使用のコンテクストに対する解釈や思考モードの選択のしかたを如何に規定しているか,という問題にアプローチしていること.