2023 年 37 巻 6 号 p. 37-42
算数の授業は帰納的な思考過程で問題解決を図るのが主流である.一方,数学の授業(論証など)では演繹的な思考過程で解決するのが主流である.この思考過程の違いによる乖離を埋める橋渡し(算数・数学架け橋プログラム)ができないか考えることにした.本研究では,算数科に問題解決を基盤とした「理論構成型の授業」を取り入れ,中学数学に繋がる算数授業モデルについて構想することを目的とする.
まず,中学数学に繋がる算数科のカリキュラムを構想し,授業分析の蓄積を通して,妥当性や適応性の高いものとして洗練させる.そして,追跡調査を行うことで,カリキュラムや指導方法の有効性を明らかにする.さらに,ビジネス界のナレッジマネジメントを教育界に転用することで,指導方法や授業分析の新たな視点を見出せる可能性が期待できる.