2023 年 37 巻 6 号 p. 95-100
中学校数学科図形領域において学習者に対して証明することの意義を理解させることは古くからの課題である.杉山(1986)は証明の意義理解のために公理的方法による「証明の要素分析」が有効であると提案している.本研究では中高一貫教育校の中学3年生の学習者を対象として面積と三平方の定理の単元において杉山(1986)のいう「証明の要素分析」の考えに基づいて2種類の活動を設計し,4回の授業において実施した.また,それぞれの授業において授業後活動に対する興味や意義について質問紙調査を行い分析を行った.分析の結果活動に対する興味や意義について一定の効果が見られたこと,一方で活動に習熟した後は時間をかけて活動に終始するのではなく,要素分析の考え方は適宜授業の中に埋め込まれるべきであることが結論として示唆された.