2024 年 39 巻 2 号 p. 113-118
本研究では,社会的価値観を取り入れた算数授業を経験することで児童が算数の内容や日常生活とのつながりについて,どのようなレリバンスを構築したのかを明らかにすることを目的とする.そのために,本田(2005)の3つのレリバンスの視点から授業中の児童の姿やワークシート,質問紙調査の分析・考察を行った.
その結果,児童は即自的レリバンスでは,解が多様さや計算結果と自分の価値観との不一致,今まで使えないと思っていた既習の知識を使って考えられたことに喜びを感じたり,未習の内容について期待感を高めたりすることができること,市民的レリバンスでは,児童の身の回りだけではなく,学校や日本というより広い範囲の題材について考えることで,児童の算数が使える生活の認識を広げることができること,職業的レリバンスでは,算数を使うことができる職業の幅を広げることができることが明らかになった.これにより,児童が社会的価値観を取り入れた算数授業を経験することでレリバンスの構築にポジティブな影響を与える可能性があることを示すことができた.