愛知県岡崎市周辺の完新統矢作デルタ (岡崎平野) の堆積速度を4本のボーリングコア試料を用いて推定した. 堆積相解析によりプロデルタの泥とデルタフロントの砂の境界を求め, その層準の14C年代値を各ボーリングコアで求めることで, デルタの前進速度を求めた. また, 地下岩層分布図と合わせてデルタフロントの砂の体積を見積もり, その堆積速度も求めた. その結果, 砂の堆積速度が, 5~2kyBPの時期に5.8×104 [m3/y] から11.1×104 [m3/y] へと急増していることがわかった. 矢作デルタの砂の堆積速度は矢作川の堆積物供給量を反映しているであろうから, 矢作川の堆積物供給量も5~2kyBPの時期以降に急増していることを示唆する.