堆積学研究
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陸上津波堆積物の多様な粒度,層厚,堆積構造
藤野 滋弘
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2012 年 71 巻 2 号 p. 102-103

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抄録

津波が沿岸低地を遡上した際に残される津波堆積物は様々な粒度や層厚,堆積構造を持つため,露頭スケールでの特徴も一様ではない.津波堆積物の粒度は供給源の堆積物の粒度に左右され,シルトが主体のものもあれば,礫が主体のものもあり,場合によっては巨礫を伴う(Figs. 1-4).また,同じ地域内の同じ津波イベントでできた堆積物でも,供給源からの距離などによって粒度は変化する(Figs. 1, 2, 4).層厚も 1 cmに満たないものから 1 mを超えるものまである.堆積構造も様々であり,平行葉理を示すものもあれば塊状のもの,級化・逆級化構造を示すものもある(Figs. 1, 2, 3).また偽礫を伴うものや(Fig. 2),複数回の波の浸入を反映した級化ユニット構造(Nanayama and Shigeno, 2006)を持つものもある.津波堆積物に見られる特徴の多くは津波以外の堆積作用でも形成され得る.そのため過去の津波堆積物を地層中で識別する場合には含有化石や化学的な指標も含めできるだけ多くの証拠を提示することが求められる.

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© 2012 日本堆積学会
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