抄録
部分重複波の下で形成されるリップルの形態,発達過程,移動について,5段階の反射率を設定した造波水槽実験によって調べた.リップルの発達と形態は,節と腹の位置に対応した違いが見られた.リップルは節の下から発生し,節から腹に向かって広がる傾向があった.それぞれの実験におけるリップル平均波長は,節の下で最も大きく腹の下で最も小さかった.このような節と腹の下でのリップルの発達と波長の違いは,反射率の増加にともなって顕著になった.場所ごとの平均波長はNielsen(1979, 1981)の経験式によって予測されるものと概ね一致した.また,リップルの移動から推定される堆積物輸送の傾向は,各実験終了時の地形と整合的である.こうしたリップルの地形,発達過程,移動は,部分重複波の下での局所的な水理条件や堆積物輸送を理解する手がかりとなりうる.