堆積学研究
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論説
磁気ファブリックと粒度特性を用いた名取川河口左岸域における2011年東北地方太平洋沖地震津波の挙動
澁谷 剛丈髙清水 康博卜部 厚志鈴木 幸治
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2014 年 73 巻 1 号 p. 3-17

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抄録
平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震による津波は,多数の空中写真や映像に記録された大災害であった.本研究は,宮城県仙台市若林区の閖上大橋左岸付近で採取した定方位不撹乱試料の層相,粒度分布,および磁気ファブリックから津波挙動の復元を試みた.その結果,詳細な津波の流れ変化を読み取ることができた.すなわち,最初に津波が名取川を遡上した後,遅れて畑地や水田を遡上してきた津波が海岸線に平行する盛土にせき止められ,行き場を失った結果,河川堤防を乗り越えて名取川に流れ込むと推定された.地質学的解析の結果,津波堆積物の特徴も畑地や水田から名取川への溢れ出しを示していた.また,空中写真判読から測定した津波瓦礫のオリエンテーションも磁気ファブリックの結果と調和的であった.すなわち,津波遡上の映像と地質学的証拠をあわせて考えると,津波堆積物の磁気ファブリックによる古流向解析が有効であることを検証できた.
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© 2014 日本堆積学会
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