堆積学研究
Online ISSN : 1882-9457
Print ISSN : 1342-310X
ISSN-L : 1342-310X
論説
堆積物供給がウェーブリップルの形状に与える影響:造波水路実験(予報)
山口 直文滝 俊文関口 智寛
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 80 巻 1-2 号 p. 3-9

詳細
抄録

ウェーブリップルの形状への堆積物供給の影響を調べるための造波水路実験を行った.実験では,水理条件がほぼ同一で,上方より降らせる堆積物供給の速度のみを3段階に変化させることでその影響を調べた.堆積物供給速度が比較的小さい実験では,ウェーブリップルの形状は維持されたまま積み重なっていた.堆積物供給速度が大きくなるにつれてウェーブリップルは平坦化され,その領域は広くなった.今回の実験の水理条件および堆積物の条件(水深:0.3 m,波の周期:1.0 s,波の平均波高:76-78 mm,堆積物粒径:0.20 mm)の下では,砂床上昇速度が32 mm/min以上の実験でウェーブリップルの平坦化が観察された.今回の実験は,ウェーブリップル形状は堆積物供給の影響を受けないというこれまでのウェーブリップル葉理形成モデルにおける仮定が,堆積物供給速度が大きい場合には必ずしも成り立たないことを示唆している.

著者関連情報
© 2022 日本堆積学会
前の記事 次の記事
feedback
Top