堆積学研究
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振動リップル発生過程の実験的研究
岩佐 誠一郎宮田 雄一郎
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1997 年 44 巻 44 号 p. 19-31

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抄録

振動リップルの発生機構解明のため, 水槽実験で発生する砂床断面を精密観察した. その結果, 振動リップル発生の初期段階に微小なリップル (rolling-grained ripple) がどのような条件下においても認められた. その, rolling-grain ripple の発生過程のみを捉えるため, 平坦な床の上に砂をまばらに撒いて水槽上方から観察した. このような条件で発生させた砂床形は天然とは異なるが, リップル発生初期を観察する手段としては非常に有効である. その結果, 次のことが明らかになった. (a) 砂床に振動流を与えた直後, 砂粒は振動方向に直交する粒子配列 (クラスター) が形成される. これが rolling-grain ripple の発生段階にあたると考えられる. (b) クラスターの平均波長は, 水槽の振幅 (軌道直径do) に関らずほぼ一定 (粒径Dの約15~30倍) である. (c) (do/D) <100の条件では orbital ripple の領域に接近するため, 軌道直径が大きいほどその波長は大きくなる. (d) 最大流速の増加に伴い, クラスター波長は増大する. (e) クラスターは振動流及び一方向流におけるリップル発生の基本的な原因と考えられる.

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