2025 年 2 巻 p. 56-67
本研究は、30名のコーダを対象としたアンケート調査の回答を分析することで、コーダが経験してきた出来事、また、そこで感じたこと、考えたことなどの具体例から、コーダの心理面についての理解を深めることをめざした。その結果、コーダたちの多くが、外で手話を使うことによって注目を浴びた経験、コーダだから手話ができるはずという周囲からの期待を感じた経験をもつことがわかった。なかには外で手話を使うことを恥ずかしいと感じるもの、手話ができるはずという期待に対してプレッシャーを感じるものもいた。結果の後半では、周囲からコーダだと指摘された事柄には表情や視線に関するものが多いなど、コーダの行動様式の共通性についても取り上げた。最後に、ろう親に対するコーダの感情の具体例を多くの記述から示し、そこに見られる社会側の課題についても考察した。