土と微生物
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関東および中部地方におけるキシャヤスデの大発生
新島 溪子
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1981 年 23 巻 p. 15-18

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抄録

1976年秋に国鉄小海線沿線をはじめとして中部山岳地帯でキシャヤスデJaponaria laminata(ATTEMS)が大発生した。キシャヤスデは日本固有種で,関東および中部地方に分布が限られ,約60年前から大発生による列車妨害の記録が残されている。秋に大発生したキシャヤスデはすべて成体で,その年の冬は10〜30cmの深さの土壌中で越冬し,翌年6月頃に交尾,産卵して一生を終える。卵は約1ケ月でふ化し,翌年から年1回つつ脱皮し,7年目に成体となる。幼虫はすべて地中で生活し,成体となった直後に群れをなして地表面をはいまわる。すなわち,気象条件や環境条件の激変がない限り,大発生の年から数えて8年目に再び大発生する可能姓が高い。このような観点から過去の記録を整理してみると,小海線浴線では8年周期でキシャヤスデが大発生していることがあきらかとなった。

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