土と微生物
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最新号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 竹下 典男
    2025 年79 巻2 号 p. 69-73
    発行日: 2025/10/01
    公開日: 2025/11/01
    ジャーナル オープンアクセス
    微生物は地球上のあらゆる環境で多様な群集を形成し,生態系の維持や植物の生育促進,物質循環,病原抑制など,幅広い機能を担っている。その中でも,細菌・糸状菌間相互作用(Bacterial–Fungal Interactions, BFIs)は,微生物群集の構成や機能において極めて重要である。BFIsには,相利・片利共生から拮抗的な関係まで多様なパターンが存在し,農業,生態,医療分野における重要性が指摘されている。これまで,BFIsは単一の組み合わせや特定のモデルのみで議論されることが多かった。一方で,系統的に多様な細菌および糸状菌について横断的に比較されることはほとんどなく,その相互作用を支えるメカニズムが十分に解明されていない。ここでは,まずBFIsについて概説し,筆者らの研究例を紹介する。最後に,今後の展開について述べる。
  • 中原 浩貴, 染谷 信孝, 村上 理都子, 冨髙 保弘, 松山 桃子, 前田 陽佑, 窪田 昌春
    2025 年79 巻2 号 p. 74-81
    発行日: 2025/10/01
    公開日: 2025/11/01
    ジャーナル オープンアクセス
    近年,世界的に持続可能な食料生産に向けた取組が推進されている。日本では「みどりの食料システム戦略」を策定し,化学農薬および化学肥料の低減に向けた取り組みの一つとして,土壌微生物の機能解明と有効活用技術の開発等の取組が推進されている。微生物を利用した生物農薬の活用は化学農薬の低減に大きく貢献するが,微生物農薬が盛んに開発された2000~2010年代と比べると,近年の微生物農薬の登録件数は少なく,最近登録が失効したものもいくつかある。一方で近年,新しく開発された微生物農薬もいくつか登録されている。国内外では生物農薬の使用および普及拡大が推進されており,微生物農薬の普及拡大の機運が高まっている。そこで本稿では現在登録されている微生物農薬の概要を解説し,微生物農薬に関連する最近の話題と研究事例を紹介する。
  • 藤谷 拓嗣
    2025 年79 巻2 号 p. 82-87
    発行日: 2025/10/01
    公開日: 2025/11/01
    ジャーナル オープンアクセス
    硝化はアンモニア酸化と亜硝酸酸化の2つの反応から成り立ち,生物地球化学的な窒素循環を駆動している。後段の亜硝酸酸化は,前段のアンモニア酸化と比較し,これまで得られてきた微生物学的な知見は不足している。その理由は,亜硝酸酸化細菌(NOB)の培養が困難であり,その分離例が少ないことに起因する。しかしながら,近年,世界中の研究者による様々な取り組みによって,その知見は拡充している。本稿では,これまで明らかになってきたNOBの系統,培養と基質親和性,アンモニア酸化細菌や従属栄養細菌との相互作用,土壌環境におけるNOBの研究例と今後の課題について報告する。
  • 大矢 朱莉, 宇佐見 俊行
    2025 年79 巻2 号 p. 88-94
    発行日: 2025/10/01
    公開日: 2025/11/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿では,日本で突然発生したレタス黒根病およびその病原菌Berkeleyomyces rouxiaeに関する一連の研究成果を紹介する。B. rouxiaeは,レタス黒根病が確認される前から日本に分布し,レタス以外の様々な植物に病害を引き起こしていた。しかし,これらの菌株のレタスに対する病原力は弱く,レタスへの接種と再分離を繰り返しても病原力の上昇は認められなかった。また,マイクロサテライマーカーにより系統解析を行った結果,レタス黒根病菌は,従来日本で他の植物に発生していたB. rouxiaeとは遺伝的に異なる,特異な菌群であることが示された。また,日本のレタス黒根病菌は米国カリフォルニアで発生している菌とも遺伝的に異なった。従って,日本で発生したレタス黒根病の伝染源はまだ不明なままである。レタス黒根病に強い感受性を示すレタス品種が古くから日本に存在したことは,病原菌側の変化が病害の発生に関与する可能性を示唆する。一方で,近年になってサリナスタイプの品種の中に感受性の強いものが増加していることも,レタス黒根病の発生が顕在化した一因かもしれない。本病害の理解や対策のためにも,今後予期しない新病害の発生に備えるためにも,更なる研究が必要である。
  • Katsuki Adachi, Tooru Kobayashi, Takayuki Suzuki, Toru Kosugi
    2025 年79 巻2 号 p. 95-107
    発行日: 2025/10/01
    公開日: 2025/11/01
    ジャーナル オープンアクセス
    Studies have demonstrated a large dependence of sweet potatoes on arbuscular mycorrhizal fungi (AMF), highlighting the growth-enhancing effects of AMF on sweet potato plants. However, compared to other annual upland crops, such as soybean, maize, and Welsh onion, there are limited studies on mycorrhizal associations with sweet potatoes. Therefore, further accumulation of fundamental ecological data is necessary. In studies on endophytic diazotrophic bacteria (EDB) in sweet potato plants, a considerable number of isolates and genetical analysis data have been obtained. Inoculation studies using these EDB isolates on sweet potato plants have shown some growth-promoting and yield-enhancing effects. Additionally, endophytic bacterial antagonistic functions have been observed, increasing the disease amelioration evidence. Further EDB inoculation experiments are required to develop technologies that utilize EDB. We conducted a co-inoculation pot experiment using AMF and EDB during the early growth stages of sweet potato plants. AMF inoculation clearly promoted the early growth of sweet potato plants. However, no significant differences between plants with and without EDB inoculation were observed. We found that the effect of EDB inoculation, following initial AMF inoculation, on root dry weight tended to differ among strains, warranting further study. We propose that sweet potato plants are unique materials for soil microbiological research, and we expect to accelerate further studies to develop and deepen our understanding of both AMF and EDB in the ecology of sweet potatoes.
  • 光延 聖, 和穎 朗太
    2025 年79 巻2 号 p. 108-115
    発行日: 2025/10/01
    公開日: 2025/11/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は,土壌団粒の孔隙特性がN₂O還元微生物群集およびその活性に与える影響をマイクロスケールで解明することを目的とした。地球温暖化の要因であるN₂Oは,農耕地土壌において生成と還元が微生物活動に依存しており,その発生量は時空間的に大きく変動する。我々は,孔隙率と孔隙連結性が異なる黄色土および黒ボク土を対象に,放射光X線μCT,微小電極法,微生物群集解析を組み合わせた独自の手法をもちいて調査した。その結果,黄色土団粒では孔隙率が低く閉鎖孔隙が深部に集中し,大気O₂の供給が制限されることで嫌気環境が広がる一方,黒ボク土団粒では開放孔隙が多くO₂供給が維持された。N₂O濃度と発生フラックスは黒ボク土で顕著に高かったが,黄色土ではN₂O還元が優勢であることが示唆された。さらに,N₂O還元菌は両土壌ともにクレードIとクレードIIに分類されたが,黄色土では嫌気環境に適応したクレードIIが深部で優占した。本研究は,土壌団粒の孔隙特性が土壌のN₂O動態を左右することを明らかにし,温室効果ガス削減策への新たな知見を提供するものである。
  • 2025 年79 巻2 号 p. 116-138
    発行日: 2025/10/01
    公開日: 2025/11/01
    ジャーナル オープンアクセス
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