土と微生物
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拮抗能を持つ放線菌を利用したフザリウム病害の抑制 : 第2報:有機物の選抜と拮抗放線菌利用資材の調製
高木 滋樹北村 章丸本 卓哉
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1992 年 39 巻 p. 41-48

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抄録

1)キチンと同様に土壌内で特異的に放線菌密度を高める有機物をスクリーニングした結果,光合成細菌処理汚泥発酵物(CPBS)が選抜された。2)第1報で選抜した5株の拮抗菌をCPBSに添加・培養させた資材を調製した。調製した資材は細菌,放線菌密度が高く,添加した拮抗放線菌の存在が確認された。3)CPBSと拮抗放線菌を組み合わせた資材のダイコン萎黄病及びキュウリつる割病に対する発病抑制効果を検討した結果,発病抑制効果が確認された。発病抑制効果は第1報で報告した拮抗菌のみの場合よりも有機物と拮抗菌を組み合わせた場合で大きく,また単菌株よりも複数の拮抗菌を組み合わせた場合に顕著であった。4)ダイコン萎黄病発病抑制試験において添加した各菌株は土壌及び根部より再分離されたが,菌株によって菌密度は異なり,菌株により土壌及び根部での定着とその活動は異なると推察された。5)4種類の異なった土壌において,拮抗菌を含む資材Aは放線菌密度を高め,F. oxysporum密度には影響を与えなかった。6)以上のように放線菌密度を選択的に高める有機物と拮抗菌を組み合わせた資材は各種土壌で放線菌密度を高め,ダイコン及びキュウリにおいて発病を抑制した。しかしその作用については今後の解明が必要である。

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