土と微生物
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尿素系縮合ポリマー施用がネギ連作圃場の根圏微生物相に及ぼす影響
橋本 好弘高橋 照雄土屋 健一横山 和成
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1999 年 53 巻 1 号 p. 3-11

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抄録

ネギ11年連作圃場への尿素ポリマー施用により,ねじれ症状の軽減効果が示された。土壌微生物の生菌数を測定した結果,非根圏土壌では,尿素ポリマー施用区で蛍光性シュードモナスの増加が認められた。ネギ根面では尿素ポリマー施用により,調査した全ての各種微生物菌数の糸状菌数に対する比(SP/F値)が高まった。蛍光性シュードモナスに対するSP/F値も尿素ポリマー施用により高まった。尿素ポリマー施用区のネギ根面でB. cepaciaが定着し増加していることがELISA法により示唆された。細菌集団の多様性評価結果から,尿素ポリマー施用区での多様性指数は,2,000近くの高い値を維持していた。また,この実験からもB. cepacia縁菌の増加が示唆された。糸状菌の多様性指数は,尿素ポリマー施用区で600近くの高い値を維持していた。以上の結果より,尿素ポリマー施用は,ネギ連作圃場におけるねじれ症状を軽減するとともに,細菌集団,糸状菌集団の両多様性指数を高いレベルで維持し,根面においてB. cepaciaを増やし,SP/F値を著しく増加させるなど根圏微生物相へ影響を及ぼす事が明らかになった。

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