土と微生物
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栽培管理の異なるジャガイモの根部に生息する微生物相の特徴
田渕 浩康内藤 智子小杉 明子仁王 以智夫
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2000 年 54 巻 1 号 p. 41-49

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抄録

化学肥料や農薬を使用せず,堆肥や有機質肥料のみで栽培管理を行う自然農法圃場(N区)と,従来の栽培管理を行う慣行農法圃場(C区)の互いに隣接した二圃場(ともに静岡県三島市)から供試根や非根圏土壌を採取し,これら二つの異なった農法で栽培されたジャガイモの根部と非根圏細菌相,および根部糸状菌相について調べた。一般細菌密度と放線菌密度は,両区間において明瞭な差異は認められなかったが,蛍光性Pseudomonas密度は根部,および非根圏土壌においてともにN区で多く,特にジャガイモ収穫期以降で顕著であった。根部より単離した好気性一般細菌をMIS (Microbial Identification System, MIDI Inc.)により同定,または類別した。両区のジャガイモ根部には同一種の細菌が優占していた。また,細菌群の多様性についてはN区で高い傾向がみられた。単離した好気性一般細菌株の植物病原菌Rhizoctonia solaniに対する抗菌活性試験ではC区に比べN区で高い活性を示す菌株が多くみられた。根連続洗浄法により根部糸状菌相を比較したところ,N区でFusarium sp.1が,C区ではTrichoderma sp.1が優占しており,糸状菌の多様性は根部細菌相と同様にN区で高かった。

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