土と微生物
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イネ科草本の糸状菌エンドファイト : 宿主親和性の検討と農業・園芸への活用の取り組み(環境保全型農業のための微生物利用:複合微生物系における有用微生物の動態と制御,シンポジウム)
菅原 幸哉
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2002 年 56 巻 2 号 p. 95-102

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抄録

イネ科草本を宿主とする共生糸状菌・Neotyphodiumエンドファイトは,植物の生育を促進し,また,不良環境耐性等を賦与することから,有用微生物として注目されている。これまで菌と植物との親和性は分離・培養した菌の人工接種で検討されてきたが,技術的な制約から検討例が限られていた。そこで感染植物を母本とした種間・属間での交配実験による宿主親和性の検討を試みた。まず,感染ペレニアルライグラスを種子親とし,イタリアンライグラス花粉で交配してハイブリッドライグラス,さらにその戻し交配後代を得たが,いずれにもペレニアルライグラス由来のエンドファイトが種子伝染した。さらに,感染ハイブリッドライグラスにトールフェスク・メドウフェスクの花粉を交配する実験でも,交配後代にはペレニアルライグラス由来のエンドファイトが種子伝染し,宿主範囲が潜在的にはかなり広い,あるいは細胞質支配である可能性が示唆された。国内各地からの牧野草の収集で日本国内にも多くのNeotyphodiumエンドファイトが生息していることが判明し,これまでにイネ科野草8属9種からNeotyphodiumに特徴的なマイクロサテライトマーカーを持つ菌株が確認された。

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