土と微生物
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水田土壌から分離した2種類のシアノバクテリア溶解細菌の特性
境 雅夫細田 晃文金澤 晋二郎
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2003 年 57 巻 1 号 p. 21-28

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抄録

糸状態の窒素固定性シアノバクテリアAnabaena cylindricaを宿主として,水田土壌からのシアノバクテリア溶解細菌のスクリーニングを行った。その結果,細菌学的性状の異なる2種類の溶解細菌CL-105株およびCL-106株を分離した。両菌株とも、A. cylindrica NIES-19の細胞を唯一の炭素源として増殖することができた。2つの菌株間では溶菌活性を示すシアノバクテリアの種類が異なっていた。A. cylindrica NIES-19, A. variabilis NIES-23, Plectonema boryanum M-101は両菌株によって溶解されたが,A. variabilis M-3, Tolypothrix tenuis NIES-37はCL-106株のみが溶解活性を示し,Nostoc muscorum M-131はCL-105株のみで溶解活性が認められた。また,この溶菌活性はシアノバクテリア特異的であり,緑藻や細菌に対する溶解活性は認められなかった。この結果は,調査した水田には少なくとも2種類の宿主範囲の異なるシアノバクテリア溶解細菌が生息することを示している。

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