土と微生物
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粘土鉱物からのジャガイモそうか病多発地帯の予測法と病害の土壌化学的防除法(土壌伝染病害菌の防除対策-ジャガイモそうか病をめぐって-,シンポジウム)
水野 直治庫爾斑 尼札米丁南條 正巳吉田 穂積天野 洋司
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2003 年 57 巻 2 号 p. 97-103

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抄録

長い間対策が困難とされてきたジャガイモそうか病の抑制因子は土壌中のアルミニウムイオンであることが明らかにされた。多発土壌である淡色黒ボク土はアロフェン含有率が高く,このような土壌では本病の抑止土壌よりpHを0.8〜1.0程度低くしないと土壌溶液中のアルミニウムイオンは本病を抑制できる水準に達しない。ジャガイモそうか病の多発する火山灰土壌の非晶質の粘土鉱物であるアロフェン含有率は噴火後約千年から一万年の間で最大となり,その後は徐々に結晶性の粘土鉱物に変化する。そのため,アロフェン含有率の高い火山灰の分布がわかればジャガイモそうか病の多発土壌を特定できる。そのような火山灰層のある地帯では基盤整備などで土層を撹乱する場合,十分注意する必要がある。ジャガイモそうか病の防除法としては,塊茎肥大期に塊茎肥大領域の土壌pHを低下させることが最も効果がある。土壌pHを下げる方法としては酸性物質を用いないで,加里とリン酸肥料は全面散布し,硫安のみを作条施肥することによって効果的に必要時期と場所のpHをコントロールすることができる。本方法は費用がかからず,かつ土壌の悪化を招かない理想的な方法である。

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