土と微生物
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異なる土壌条件がイチジク株枯病によるイチジクさし木苗枯死率に及ぼす影響
三輪 由佳細見 彰洋石井 孝昭
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2010 年 64 巻 2 号 p. 89-94

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抄録

C. fimbriataの土壌かん注接種によって株枯病を発生させたポット植えイチジクさし木苗を用いて,各種の土壌条件が苗木の生育と枯死に及ぼす影響を調査した。まず,果樹園の土壌をそのまま用いる「無加熱区」,この土壌を加熱した「加熱区」,加熱区に加えて,水はけを遮る「滞水区」,4倍施肥する「多肥区」,ナギナタガヤを播種する「草生区」,T. harzianum,あるいはAMFを含有する微生物資材を加える「トリコデルマ区」と「菌根菌区」の各処理区を比較調査した。その結果,枯死率が低かったのは菌根菌区26%,無加熱区48%,草生区48%で,それ以外は70%前後と高かった。枯死が抑制された区の傾向は森林土壌を供試土として検証した場合も同様で,加熱区の枯死率68%に対し,菌根菌区16%,無加熱区26%,および草生区44%と低かった。特に,いずれの試験でも最低の枯死率であった菌根菌区は苗の生長抑制などの弊害も少なかった。それゆえ,菌根菌の活用が有望な防除対策に結びつく可能性が示唆された。

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