土と微生物
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家畜排泄物コンポスト化過程における細菌・古細菌群集(特別講演)
中井 裕山本 希浅野 亮樹小田和 賢一大石 竜吉井 啓貴多田 千佳
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2011 年 65 巻 2 号 p. 89-93

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抄録

コンポスト化は,家畜排泄物を処理する有効な手法の一つであり,微生物群集が重要な役割を果たしている。とくに原核生物の重要性は大きく,真正細菌は現在まで多様な細菌種が特定されてきたが,実規模施設の処理過程における群集構造の詳細は未だ明らかにされていない。一方,古細菌群集についてはまったく研究されていなかった。そこで,実規模施設での牛ふんコンポスト化過程における原核生物群集構造の変化を,分子生物学的手法で明らかにすることとした。真正細菌の16S rRNA遺伝子の解析結果により,処理の進行と共に真正細菌群集構造が劇的に変化することが明らかとなった。コンポスト化終了時にはProteobacteria門,Bacteroidetes門,Firmicutes門,Actinobacteria門など,様々な真正細菌が存在することが示された。古細菌群集は処理過程を通してメタン生成菌およびアンモニア酸化古細菌(AOA)から構成されることが示され,コンポストから初めて2種のAOA由来遺伝子を検出することに成功した。本研究により,牛ふんコンポスト化過程における原核生物群集構造の変化が明らかとなった。

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