抄録
サクヤアカササゲの種苗に腐敗症状を生じる病原菌の同定と局在部位の特定,ベノミルおよび生物防除資材による種子消毒の可能性について検討した。2021年7月,沖縄県本部町の沖縄美ら島財団において催芽処理を行ったサクヤアカササゲに,種苗腐敗症状が発生した。典型的病徴から得られた単胞子分離株を健全種子に接種したところ,原病徴が再現され,同一性状の糸状菌が高率に再分離されたことから,本病の病原菌であることが証明された。典型的な菌株の形態的特徴および分子解析の結果から,Fusarium annulatumであると同定された。本病は日本における初報告であることから,種苗腐敗病と呼称することを提案する。種子における病原菌の局在部位を調べたところ,表面にのみ存在することが明らかとなった。またベノミルを用いた種子消毒試験では,1000倍希釈液に1時間浸漬した場合,完全に発病が抑制され,植物体への悪影響も認められなかった。In vitroにおけるBacillus subtilisおよび植物精油を用いた抗菌活性試験では,B. subtillis PNB-7株とオキナワニッケイで高い活性が認められた。以上から,サクヤアカササゲ種子腐敗病はF. annulatumによる種子伝染性病害であることが明らかとなり,数種方法による種子消毒の可能性が示された。