抄録
本稿は,個人情報保護法の第二次いわゆる3年ごと見直しの動向を解説するものである.法は情報通信技術や社会実務の急速な変化に対応するため,3年ごとの検討を義務づけている.検討の結果,必ずしも改正を要するわけではないが,2024年以降,第二次の検討では,個人情報保護委員会での審議を経て,中間整理(令和6年6月)や報告書(同年12月),「考え方について」(令和7年3月)が公表されており,改正につながる見込みである.「考え方について」は事実上,改正の基盤となる.「考え方について」の概要は以下の通りである.第一に,本人関与の在り方が検討される.特に同意規制に関し,GDPRの規定をも参考に,統計作成等や,契約履行など,新たに同意を不要とする類型を定める方向である.漏えい等通知義務の柔軟化や,子どもの個人情報の取り扱いについての明確化も提案されている.第二に,データ利活用の多様化への対応が挙げられる.クラウド事業者等への取扱いの委託規律の再考,一定の個人関連情報の不適正取得・利用規制,顔特徴データ等に対する透明性確保,悪質名簿業者を想定した義務強化などである.第三に,実効性確保のための規律として,緊急命令の対象拡大,違反事実の本人への通知及び公表や,第三者への要請制度,刑事罰拡充が示されている.課徴金制度や団体訴訟の導入は継続課題とされた.提出予定の法案はデータ利活用政策の基盤とも位置づけられている.今後,2026年通常国会以前の法案提出が見込まれる.