外科と代謝・栄養
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特集「Bench to Bedside:基礎研究成果からみた臨床栄養管理への提言」
がん腫瘍制御とn‐3系脂肪酸投与
小川 了竹山 廣光
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2019 年 53 巻 6 号 p. 293-300

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抄録

 n‐3系脂肪酸は魚油, ボラージ油 (ルリジサ種子油) に豊富に含まれている脂肪酸で, n‐6系脂肪酸とともに必須脂肪酸である. このうちEPA, DHAには抗炎症作用や抗癌作用があることが多くの研究で明らかとなってきている. 作用機序に関してはいまだ十分に解明されていないが, 近年, n‐3系脂肪酸から細胞間生合成経路によって産生されるレゾルビンなどの代謝産物が同定され, 脂質メディエーターとして働き, 炎症の消退に関与していることがわかってきている.
 また, EPAの癌に対する作用については, 細胞レベルの実験では膵癌, 乳癌, 結腸癌, 肝細胞癌, 肺癌, 食道癌などにおいて種々の癌によって報告されている. EPAはNF‐κBの活性化を抑制し, 炎症性サイトカインの産生を制御することから, 癌制御目的や抗炎症目的にEPAを投与もしくはEPA含有する免疫栄養療法が注目され, 前向き試験が行われてきた. しかし, 現時点は臨床において炎症や癌の制御に対するはっきりとした有効性は認めていない.

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© 2019 日本外科代謝栄養学会
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