外科と代謝・栄養
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特集 「各種病態に対する蛋白・特殊アミノ酸代謝と投与効果」
重症患者に対する高蛋白投与
白井 邦博小谷 穣治
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2023 年 57 巻 1 号 p. 30-34

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抄録

 重症患者では,侵襲による蛋白の異化亢進と同化抑制が引き起こされて,筋蛋白が急激に喪失する.この病態は,合併症や死亡率を増加させるだけでなく,救命できた患者でもQOL(quality of life)を低下させる原因となる.このため,崩壊した蛋白を補充して同化を促進する目的で,早期から最適な栄養投与量を設定する必要がある.最近は急性期の目標エネルギー量はunderfeedingが推奨されているが,蛋白投与量についてはいまだ議論されている.ただし,初回から高用量の蛋白投与は有害であり,最初の3日間は0.8g/kg/日未満として,その後は段階的に増量しながら,急性期から回復期までには少なくとも1.2~1.5g/kg/日の投与が必要となる.さらに,早期離床など積極的にリハビリテーションを栄養療法と組み合わせることで,蛋白同化を促進してQOLを向上させる可能性がある.

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© 2023 日本外科代謝栄養学会
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