外科と代謝・栄養
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特別企画2 メディカルスタッフが代謝栄養学を学ぶこと
理学療法士が代謝栄養学を学ぶ意義
井上 達朗
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2025 年 59 巻 3 号 p. 57-

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抄録
 ある日の夕方、私はいつものようにリハ室の片隅で大腿骨近位部骨折患者の理学療法を行なっていた。その男性は極度に痩せており体力も乏しかった。そのため、理学療法に十分な時間をかけることができず、身体機能の改善 も思うように進まなかった。当時、急性期リハに従事していた私は、理学療法を行う上での疾患の病態理解の重要 性を認識し、時間をかけて学んでいた。しかし、当時の私に代謝栄養学の視点はなく、「なぜ理学療法の効果が十 分に得られないのか」の解を見つけることができなかった。この経験が、理学療法士である私が代謝栄養学を学ぶ 契機となった。
 代謝栄養学を学ぶ中で、適切な栄養管理が疾患治療の効果を最大化し、リハの効果も例外でないことに気づいた。前職でNST に関わる機会を得たことで、患者に関わるあらゆる職種が代謝栄養学の視点を持つことの重要性を痛 感した。そして、この頃には、私は学問としての代謝栄養学の魅力に強く引き込まれていた。
 この15 年で、栄養とリハを取り巻く状況は劇的に変化した。栄養問題がリハの効果を減弱させるとの多くのエ ビデンスが蓄積され、理学療法士作業療法士養成課程に栄養学の履修が必修化された。GLIM の診断基準に骨格筋 量評価が組み込まれ、リハ・栄養・口腔管理の一体的推進が診療報酬と介護報酬で評価されるようになった。今や、 全国のNST には多くの理学療法士が参画しているだろう。患者像が複雑化する現代において、代謝栄養学の知識 はリハ職に必要不可欠である。
 現代のNST に求められるのは、対象者の栄養状態の改善や合併症発症予防を通した患者立脚型アウトカムの向 上である。栄養問題を理解した上で、対象者の機能回復や活動のゴール設定を行い、多面的な治療を提供すること は、今や栄養治療の一環であると考える。
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© 2025 日本外科代謝栄養学会
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