サルコイドーシス/肉芽腫性疾患
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胸部検診発見7年後に心病変を発症したサルコイドーシスの一例
蛯原 賢司杉本 峯晴赤星 隆一郎浜本 淳二今村 文哉吉村 力也直江 弘昭
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2000 年 20 巻 1 号 p. 39-43

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抄録

症例は58歳女性. 胸部検診にて両側肺門リンパ節腫大 (BHL) を指摘され, サルコイドーシス (サ症) と診断された後, 外来にて経過観察されていた. BHLは縮小, 改善傾向にあったが, サ症診断より約7年後, 易疲労感と労作時呼吸困難が出現した. 胸部X線写真ではBHLや肺野病変の増悪は認められなかったが, 心陰影の拡大と胸水貯留が認められた. 心電図上, 完全房室ブロック, 心エコーにて心室中隔の壁運動低下と同基部に限局する壁の菲薄化, 更に201T1心筋シンチでは心室中隔に欠損像を認め, 臨床診断群より心サ症と診断された. ステロイド治療によりある程度心筋シンチ所見の改善が認められたが, 完全房室ブロックは改善せず, 永久ペースメーカーの植え込みを行った. また, 心室中隔基部の菲薄化も改善されなかった. サ症は予後良好な疾患と言われているが, 心病変の合併は予後に多大な影響を及ぼし, 経過中いずれの時期にも合併し得るので注意深い観察が必要である.

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© 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
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