社会心理学研究
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原著論文
社会的支配志向性が身体障害者に対する支援的態度に及ぼす影響
木田 千裕矢田 尚也池上 知子
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電子付録

2023 年 39 巻 2 号 p. 87-96

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抄録

This research investigated why people without disabilities are reluctant to help those with physical disabilities. Focusing on Social Dominance Orientation (SDO), we conducted a questionnaire and vignette study with Japanese participants (mostly university students) without disabilities. Overall, we found that SDO hinders offering help to people with physical disabilities. In Study 1 (N=67), we demonstrated that individuals with higher SDO were less likely to offer help when they perceive people with physical disabilities as cold. In Study 2 (N=140), we examined whether a perceived threat to an existing hierarchical structure, induced by a manipulation, would reduce the willingness to support those with disabilities among individuals with higher SDO. The results showed that although SDO and perceived threat decreased an individual’s willingness to support those with disabilities, SDO did not moderate the relationship between perceived threat and the reduced willingness to support those with disabilities. These findings suggest that people are motivated to justify and maintain their superiority over those with disabilities, suggesting that further discussions on the associations between improving the status of people with disabilities and threats to the existing social hierarchy are needed.

問題

障害者に対する差別や偏見の是正が声高に叫ばれ、障害者差別解消法の施行をはじめとする社会制度や施策、環境が急速に整備されつつある一方、障害者や障害者への支援に対する反発や反感が表出されるという現実がある。内閣府が2017年に行った「障害者に関する世論調査」では、障害を理由とする差別や偏見の有無について、8割以上の人が「ある」と回答し、そのうち4割が5年前と比べてその状況は改善していないと回答した(内閣府,2017)。また、重度の身体障害のある国会議員が政治活動を行う際に必要な福祉サービスに対する公的な補助を「特別扱い」と批判する声が散見されるなど、障害者支援をめぐる世間一般の態度は冷ややかである(有近・森本,2019)。

心理学における研究も、社会の人びとが障害者に対して表明する態度や行動は、消極的そして否定的であることを示してきた。例えば、河内(2004)は、障害者に対する関心が弱いほど、障害者との交流場面において当惑しやすく交流が表面的になること、障害者に対する本音の意見を主張することに抵抗感を抱きやすいことを明らかにした。また河内(2002)は、視覚障害のある学生に対する学業支援サービスに対する意識について検証し、健常な学生に受け入れられやすい支援は成績などに直接影響しない設備などに関する外部環境的な事柄であり、試験時間の延長や学習補助者をつけるなど障害のある学生自身の課題遂行上のバリアを取り除くためのサービスについては受容度が低いことを指摘している。

本研究の目的は、このような障害者を社会的に不利な立場に強いる否定的な態度の背景について集団間の序列構造を維持・防衛する心理機制に着目し、障害者支援が阻害されるメカニズムを明らかにすることである。

支援的態度の阻害要因としての社会的支配志向性

これまでの社会心理学における支援や援助行動の研究は、支援的態度や行動意図は個人間の関係だけでなく集団間の力関係によっても影響を受けることを示している。例えばNadler(2002)は、高地位集団は、自分たちの地位の優位性を維持するために低地位集団の地位が向上するような集団間の支援を回避することを明らかにした。さらに、集団間格差が縮小していることを知らされた場合に、高地位集団成員は低地位集団に対する支援的態度を弱めることも明らかになっている(Cunningham & Platow, 2007)。こうした社会的に弱い立場にある人々に対するネガティブな態度には、格差や不平等な社会構造を正当化し、容認、維持しようとする心性が影響しているという指摘がある(池上,2012)。これらの知見は、支援によって障害者の地位が向上することで、相対的に有利な立場にある健常者の地位が脅かされる、すなわち既存の序列構造への脅威が喚起されるために、障害者支援を否定し、障害者を不利な立場に押しとどめようとする態度が生じる可能性を示唆する。

そこで本研究は、集団間の序列構造維持動機の存在に言及した社会的支配理論(Social Dominance Theory; Sidanius & Pratto, 1999)に基づき、この理論の根幹を担う社会的支配志向性(Social Dominance Orientation: 以下、SDOと略す;Pratto et al., 1994)の効果に注目することとした。社会的支配理論は、社会的カテゴリーに基づく序列や階層が形成、維持されるメカニズムとして、人には種々の社会集団間の格差や序列、階層構造を肯定しようとする根強い心性があると主張する。SDOとは、そのような構造を好む程度の個人差を表す。ただし、SDOは単に内集団の外集団に対する優位を維持しようとするものではなく、集団間の関係性のあり方にかかわる概念である。SDOが高いほど、階層的な序列構造を受け入れやすく、不平等な集団間関係の維持、増強を志向する一方、SDOが低いほど、平等な関係を望み、階層間の差の縮小を支持する傾向がある(Pratto et al., 1994)。

SDOは、ある特定の外集団に対する否定的な評価を促すことが数多く報告されている(e.g., 三船・横田,2018; Pratto et al., 1994)。Duckittらは、“Derogated group”と称される集団、すなわち「社会的序列の下位に属し蔑視されやすい集団」に、エスニックマイノリティ、移民、肥満者、主婦、失業者、身体障害者、精神障害者が含まれることを指摘し、とりわけ、SDOがこの“Derogated group”に対する偏見や否定的態度を強めることを示した(Duckitt, 2006; Duckitt & Sibley, 2007)。

SDOと支援的態度との関連については、SDOが高い者ほど、社会的マイノリティの権利保護や社会、教育、所得における集団間格差の低減を目的とした社会政策に対する態度が否定的になることが示されている(Crowson et al., 2013; Pratto et al., 1994)。さらに、Bahns & Crandall(2013)は、高地位集団(i.e., 異性愛者)の中でも特にSDOが高い成員において、低地位集団成員(i.e., 同性愛者)の地位が向上してきた際に、その低地位集団に対して差別的になり支援を抑制することを明らかにした。SDOが障害者集団に対する態度に及ぼす影響を調べた研究は数少ないが、身体障害者と知的障害者に対する市民権の制限(Crowson et al., 2013)やインクルージョン教育への反対(Crowson & Brandes, 2014)をSDOが助長するという知見がある。したがって、SDOは障害者に対する支援的態度を阻害する個人差変数として作用すると考えられる。しかし、なぜSDOが障害者集団をはじめとする低地位集団に対する否定的な態度を助長するのか、そのメカニズムについては十分に説明されていない。

集団間序列構造への脅威

上述の通り、SDOは、低地位集団や社会的に弱い立場にある集団に対する否定的態度を強め、集団間の不平等や格差を是認し、偏見や差別的態度の正当化を促す傾向がある(Sidanius & Pratto, 1999)。Halabi et al.(2008)は、序列構造への脅威の高さを操作することでSDOが低地位集団に対する支援意図に及ぼす影響を検証した。その結果、脅威が高い条件においてのみ、高地位集団(i.e., ユダヤ人)に所属し、かつSDOが高い成員ほど、低地位集団(i.e., アラブ人)の地位の向上を期待させるエンパワメント型の支援(Jackson & Esses, 2000)を抑制することが示された。すなわち、不公平な格差がある現在の社会システムを正当とする高SDO者(Pratto et al., 1994)は、集団間の序列構造を維持できない事態が生じた際に、既存の序列構造を防衛するために否定的な態度を生起させる可能性がある。言い換えれば、低地位集団への支援は格差縮小を想起させるため、集団間の序列構造を維持したいと思う者(i.e., 高SDO者)ほど、序列関係が変動することへの危惧が喚起され、低地位集団の地位向上につながるような支援を好まないことが推測される。Halabi et al.(2008)は民族間の序列関係に着目したが、障害者集団が“Derogated group”に属することを踏まえると(Duckitt, 2006)、障害者集団に対してもより社会的に不利な立場へと抑圧する高SDO者において同様の心的機制が働きやすいと考えられる。しかし、これまでの先行研究は、低地位集団の地位の向上を予期させるシナリオ操作を用い、序列構造への脅威は高SDO者ほど大きいという前提のもとで行われていたが、SDOと序列構造への脅威の認知との関連については直接的に検証されていない。

本研究の目的

以上の議論をもとに本研究では、個人特性であるSDOに着目し、集団間序列構造およびそれに対する脅威の認知と障害者に対する支援的態度の関連をSDOが調整する可能性について二つの研究によって検討する。なお、日本における障害者に対する態度の研究にならい(栗田・楠見,2010)、本研究では日本で最も多い障害種である「身体障害」を対象とした。研究1では、ステレオタイプ内容モデル(Stereotype Content Model: 以下、SCMと記す;Fiske et al., 2002)に依拠して集団間の序列構造と身体障害者に対する印象(ステレオタイプ)の関係に着目し、身体障害者に対するステレオタイプとSDOが支援的態度に与える影響を検証する。研究2では、集団間序列構造への脅威認知が、高SDO者の身体障害者への支援的態度の抑制に関与しているかについて、実験的操作により身体障害者の地位変動を想起させ、脅威知覚を測定することによって検証する。本研究の仮説は、「高SDO者は、序列構造の変動に対する脅威の認知が高まり集団間格差の縮小を想起させられた場合に、身体障害者への支援を好まない一方、低SDO者においてそのような脅威の認知と支援との関連は見られない」である。

研究1

研究1は、身体障害者に対する印象が身体障害者に対する支援的態度に与える影響を集団間の序列構造維持およびSDOの観点から検証する。

集団間の序列構造と集団に対する印象の関係は、SCMによって説明される。SCMによれば、あらゆる社会集団に対するステレオタイプは、「有能性」と「温かさ」の二次元に基づいて形成される。能力の高さ、頭の良さ、行動力を表す有能性は、認知者集団に対する対象集団の相対的な社会的地位の高さによって、人柄の良さや親しみやすさを表す温かさは、対象集団と認知者集団との競合性の低さによって予測される。障害者は「能力は低いが人柄は温かい」という相補的なクラスターに分類され(Fiske et al., 2002; 栗田・楠見,2012)、社会的地位が低く、認知者集団と競合しない集団として認知される。

SDOとSCMとの関連について、Oldmeadow & Fiske(2007)は、SDOが高い者ほど外集団の社会的地位の推測と有能性の印象が関連しやすいことを示した。これまでの議論を踏まえると、身体障害者を有能と捉えているほど社会的地位の高さを、また、冷たいと捉えているほど競合性が高いことを想起していることを意味する。したがって、集団間の格差縮小を嫌う高SDO者は、身体障害者の有能さを知覚することで、あるいは冷たさを知覚することで、序列構造の変動に対する脅威を連想し、結果として身体障害者に対する支援的態度は低下するだろう。一方、そのような傾向は低SDO者には生じないだろう。

方法

参加者

関西地方在住の学生50名と関東地方在住の学生13名、社会人12名の計75名(男性32名、女性43名、平均年齢20.16歳、SD=0.88)を対象に質問紙調査を実施した。質問への回答に不備のあった8名のデータを分析から除外したため、分析対象者は67名(男性27名、女性40名、平均年齢20.14歳、SD=0.88)であった。

手続き

調査は、関西地方の参加者には質問紙を個別に配布し、関東地方の参加者にはオンライン調査サイトであるGoogleフォームを用いた。冒頭に、調査目的やデータ利用を説明するページを設け、これに応諾した者のみが以降の調査に進むようにすることで調査協力とデータ利用の許諾が得られたものとした。質問項目は以下の通りである4)

質問紙の構成

1. 社会的支配志向性(SDO)

集団間の格差や序列を好む程度を表す社会的支配志向性を測定するため、杉浦他(2014)の研究2で作成されたSDO尺度を使用した。尺度は、「集団主義志向性」に関する11項目(e.g., 上に立つ集団に、より多くの成功のチャンスが巡ってくるのは当然のことだ)と、それとは逆の志向性を示す「平等主義志向性」に関する11項目(e.g., 集団同士の関係は平等であるほうが望ましい)から構成された。それぞれの項目について、7件法(1. まったくそう思わない~7. 非常にそう思う)で回答を求めた。尺度得点の算出の際は、得点が高いほどSDOが高いことを示すように平等主義志向性に関して反転処理をし、22項目の平均点をSDO得点とした(α=.88, M=3.78, SD=0.72)。

2. 身体障害者の印象評定

Yada & Ikegami(2015)が作成した「有能性」と「温かさ」の測定項目を用いて印象評定を求めた。「有能性」に関する4項目(i.e., 知的な/のみこみのいい/頭の悪い[反転項目]/知的でない[反転項目])と「温かさ」に関する4項目(i.e., 思いやりのある/親切な/感じの悪い[反転項目]/親しみにくい[反転項目])の計8項目について、7件法(1. まったく当てはまらない~7. 非常に当てはまる)で回答を求めた。反転項目の処理をした上で、各4項目を平均し、障害者に対する有能性得点/温かさ得点を算出した(有能性;α=.75, M=4.03, SD=0.99, 温かさ;α=.73, M=4.69, SD=0.84)。

3. 支援的態度

生川(1995)が作成した精神遅滞者に対する健常者の態度を測定する「理念的好意」尺度(e.g., ちえ遅れのある人のために、地域環境をもっと住みやすいものにしていくべきだと思う)を参考に、身体障害者に対する支援的態度を測定した。各項目の「ちえ遅れの人」という表記を「身体障害者」に変更し、身体障害者に対する支援的政策への支持に関する4項目について、5件法(1. 反対~5. 賛成)で回答を求めた。得点が高いほど身体障害者に対する支援的態度が高いことを示すように、4項目の平均を算出した(α=.64, M=4.44, SD=0.47)。

4. デモグラフィック変数

参加者の性別、年齢について尋ねた。

結果

以下、仮説検証で使用した分析対象項目の詳細な記述統計量、単相関分析の結果は、電子付録に掲載した(Appendix 1を参照のこと)。

仮説検証

支援的態度得点を従属変数とし、SDO, 有能性評価、温かさ評価(それぞれ平均値によって中心化)をStep 1, それぞれの変数間の2要因交互作用項をStep 2に投入する階層的重回帰分析を実施した5)。その結果、Step 2(R2=.27, p=.002)のモデルが有意であり、Step 1からStep 2へのR2の変化量が有意であったため(ΔR2=.08, p=.036)、Step 2のモデルを採用した。支援的態度に対して、SDOが有意な負の影響(β=−.30, p=.017)を及ぼした。さらに、SDO×有能性(Figure 1)とSDO×温かさ(Figure 2)の二つの交互作用項も有意であった(β=−.27, p=.029; β =.25, p=.038)。各交互作用について、SDO±1SDにおける有能性と温かさの単純傾斜分析を実施したところ、SDOが低い場合は有能性と温かさの効果はいずれも有意ではなかった(β=.25, p=.172; β=−.001, p=.997)。一方、SDOが高い場合には、有意ではなかったものの、身体障害者の有能性を高く評価するほど支援的態度は弱まる傾向だった(β=−.41, p=.054)。また、温かさを低く評価するほど支援的態度が有意に弱まる(β=.46, p=.003)ことが示された。

Figure 1 SDO±1SDごとの有能性評価における単純傾斜
Figure 2 SDO±1SDごとの温かさ評価における単純傾斜

考察

SDOが高い場合に、身体障害者は冷たいと認知するほど、身体障害者に対する支援的態度が低下することが認められ、予測は一部支持された。この傾向は、経済的な競合性(competitive)の脅威(Duckitt, 2006)が活性化されていた可能性によって説明されうる。すなわち、身体障害者に対する冷たさの知覚によって、健常者の社会的資源へのアクセス権の優先性や社会的地位の優位性に対する脅威が想起され、支援的態度が抑制されるという既存の序列関係を維持する反応が見られたと考えられる。他方、低SDO者に関しては、身体障害者の印象にかかわらず、支援的態度が肯定的であった。これは、低SDO者は序列構造が変化することに脅威を感じないためであると解釈できる。つまり、社会的地位の向上や競合性の高さにかかわらず、身体障害者は障害による困難があるために支援が必要だという合理的な判断が働き、支援的態度が阻害されなかったことが示唆される。

しかし研究1では、集団間の序列構造への脅威そのものについては調べておらず、それが本当に喚起されていたかは不明である。また、その点の曖昧さゆえに、高SDO者における有能性認知による支援的態度の影響は弱かったかもしれない。したがって、研究2では実験操作によって序列構造への脅威の知覚が支援的態度に与える影響を直接的に検討した。

研究2

研究1の問題点は、既存の序列構造の正当化が生じている可能性が推測の域を出ないことである。高SDO者においてのみ、支援により身体障害者の地位が変動し、それによって序列構造が脅かされるという知覚が喚起されるために支援的態度が阻害されるという過程については検討されていない。SDOが高い高地位集団成員は、低地位集団成員の地位が向上してきた際に、低地位集団に対して差別的になることを示した先行研究(e.g., Bahns & Crandall, 2013)では、対象集団の地位の向上に関する情報を提示することによって集団間序列構造への脅威喚起が成功したと解釈している。これを踏まえると、高SDO者においてのみ、身体障害者の地位の向上に関する情報が提示された場合、集団間序列構造への脅威の知覚を介して、身体障害者に対する支援的態度が弱まると予測できる。

ところで、研究1で使用した支援的態度尺度の内容は、地域環境の整備といった政策に関するものであり、身体障害者全般に適応される集団次元での態度である。しかし、実社会における支援には、車椅子を押すのを手伝うといった身体障害者個々人を対象とする直接的な対人援助も想定される。したがって、研究1で測定した身体障害者集団全般に適用される、政策や制度に関する集団レベルの支援に加え、個人レベルの支援として1対1の対人場面の援助行動を追加して仮説を検証することとした。

方法

参加者

大学生144名(男性62名、女性81名、性別不明1名、平均年齢20.69歳、SD=4.20)を対象に質問紙実験を実施した。質問への回答に不備のあった4名のデータを分析から除外したため、分析対象者は140名(男性60名、女性79名、性別不明1名、平均年齢20.70歳、SD=4.26)であった。

実験デザイン

実験の目的に対応させ、地位条件(地位向上条件、低地位条件、統制条件の3水準;身体障害者の地位の高さを実験的に操作)を参加者間変数として用いた。身体障害者の地位が向上しているという認知を促す地位向上条件に49名、身体障害者は社会的に不利な立場にいることが強調された低地位条件に45名、地位に関する情報を提示しない統制条件に46名が無作為に割り当てられた。

手続き

実験条件に対応する3種類の実験冊子を用意し質問紙実験を行った。大学の心理学に関連する科目の授業終了後に実験への参加協力を依頼し応諾した受講学生を対象に一斉に冊子を配布し実施した。また、大学構内にいた学生にも個別に参加協力を依頼した。実験参加の依頼にあたり、身体障害者に対する態度を調べることを目的としていること、回答は自由意志によることなどを質問紙の表紙に明記し、口頭でも説明を行った。実験終了時には、研究の真の目的を説明するとともに、身体障害者に対する架空の文章が含まれていたこと、さらに身体障害者に関するさまざまな記述により不快な思いをさせた可能性について謝罪し、デブリーフィングを行った。質問項目は下記の通りである6)

質問紙の構成

1. 社会的支配志向性(SDO)

研究1で使用した杉浦他(2014)のSDO尺度から、「集団主義志向性」と「平等主義志向性」の各因子に属する項目のうち因子負荷量が高い各6項目を抜粋し、計12項目を使用した。それぞれの項目について7件法(1. まったくそう思わない~7. 非常にそう思う)で回答を求めた。研究1と同様、得点が高いほどSDOが高いことを示すように、反転項目の処理を行い、12項目の平均点をSDO得点とした(α=.62, M=3.98, SD=0.57)。

2. 身体障害者の地位に関する操作

身体障害者の地位に関する情報が記載されたシナリオを提示し、身体障害者の地位に関する認知を操作した。地位向上条件では、身体障害者の地位が向上し社会で活躍しているといった内容の架空の文章を、低地位条件では、身体障害者は社会的に不利な立場にいるといった内容の架空の文章を提示した。また、統制群では、身体障害者福祉法の第4条を参考に、身体障害者の法律上の定義(i.e., 「(略)~身体障がい者とは、視覚障害、聴覚障害または平衡機能の障害~(略)肢体不自由、内部障害があるものを言います」)を記した文章を提示した。さらに、シナリオの操作確認として、身体障害者の地位に関する2項目(i.e., 地位向上感:「身体障がい者の地位は向上している」、低地位感:「身体障がい者に対する法的保護が少ない」)に対して、それぞれ7件法(1. まったくそう思わない~7. 非常にそう思う)で回答を求めた。「地位向上感」は、得点が高いほど身体障害者の地位が向上していると認識していることを示し、「低地位感」は、得点が高いほど身体障害者の地位が低いと認識していることを示す。地位向上条件と低地位条件のシナリオおよび操作確認の質問項目はBahns & Crandall(2013)を参考に作成した。

3. 集団間地位脅威認知

Outten et al.(2012)およびCraig & Richeson(2014)の集団間脅威尺度を参考に、身体障害者の地位向上によって集団間序列構造が変動するという、地位脅威の認知を測定するための項目を作成した。「身体障がい者が将来的に日本社会で主導権を握るようになる」「身体障がい者の地位が向上することは健常者の地位を低下させる」「身体障がい者の地位が向上することは日本社会をよくする(反転項目)」「身体障がい者の地位が向上するほど、社会における健常者の影響力が低下する」の4項目について、7件法(1. まったくそう思わない~7. 非常にそう思う)により回答を求めた。なお、反転項目の処理をした上で4項目を平均し、得点が高いほど集団間地位脅威を感じていること示す尺度得点を算出した(α=.62, M=2.73, SD=0.70)。

4. 援助意図(個人レベルの支援)

身体障害者個人に対する支援的態度を測定するため、河内(2006)が作成した障害者との交流場面における健常者の態度を測定する「抵抗感」尺度と「障害者に関する世論調査」(内閣府,2012)の項目を参考に独自項目を含む計8項目(e.g., 「食堂まで車椅子を押していって欲しいと頼まれた場合」/「相談にのって欲しいと頼まれた場合」/「床に荷物を落としたので拾うのを手伝ってほしいと頼まれた場合」)を作成し、7件法(1. まったく助けたくない~7. 非常に助けたい)により回答を求めた(α=.86, M=5.78, SD=0.72)。

5. 支援的政策支持(集団レベルの支援)

研究1で作成した「支援的態度」のうち、「身体障害者を親だけで面倒をみるのは限界があると思う」という項目は、身体障害者に対する支援的政策を想起させにくいと考えたため除外し、「障害者に関する世論調査」(内閣府,2012)を参考に、新たに「身体障がい者の支援体制をもっと整えるべきだと思う」「身体障がい者の生活安定のために手当てを充実させるべきだと思う」という2項目を追加した。身体障害者全般に対する支援的態度として、5項目に対する賛否について5件法(1. 反対~5. 賛成)により回答を求めた(α=.83, M=4.20, SD=0.57)。

6. デモグラフィック変数

研究1と同様に、参加者の年齢、性別を尋ねた。さらに、実験に関する感想を自由に記述してもらった。

結果

操作チェック

身体障害者の地位の高さに関する操作の有効性を確認するため、地位向上感と低地位感について、それぞれ地位条件間で比較した。地位向上感については、一要因の分散分析の結果、地位の高さに関する条件の主効果が有意であった(F(2, 137)= 6.86, p=.001, ηp2=.091)。Bonferroni法による多重比較を行ったところ、地位向上条件(M=4.84, SD=1.05)は統制条件(M=4.20, SD=1.15, p=.020)と低地位条件(M=4.02, SD=1.20, p=.002)よりも有意に得点が高かった。低地位条件と統制条件の間には有意な差は認められなかった(p=1.00)。したがって、身体障害者の地位が向上しているという情報を提示された参加者は、身体障害者の地位の向上を認識していることが示された。次に低地位感についても同様に一要因分散分析を行ったところ、地位の高さに関する条件の主効果が有意であった(F(2, 137)=6.83, p=.001, ηp2=.091)。Bonferroni法による多重比較の結果、低地位条件(M=4.64, SD=1.15)は統制条件(M =3.85, SD=1.17, p=.002)よりも有意に得点が高かった。ただし、予想に反して、地位向上条件(M=4.49, SD=0.96)も統制条件より有意に得点が高く(p=.015)、低地位条件と地位向上条件の間には有意な差は認められなかった。これにより、大筋において地位に関する操作は有効であったと解釈できるが、地位向上条件で低地位感が統制条件より高くなった点は留意する必要がある。なお、三つの実験条件間でSDO得点に差は認められなかった(F(2, 137)= 1.92, p=.151, ηp2=.027)。

分析対象の項目

以下、仮説検証で使用した分析対象項目の詳細な記述統計量、単相関分析の結果は電子付録に掲載した(Appendix 2と3を参照のこと)。

仮説検証

支援的態度に及ぼす影響

地位に関する情報が支援的態度に及ぼす影響に集団間地位脅威認知が媒介する過程は、高SDO者においてのみ見られるという予測を検証するため、統計解析用ソフトウェアSPSS Statistics 26.0, PROCESS Macro(Model 59, Hayes, 2018)を用いて、調整媒介分析を実施した。身体障害者に対する援助意図と支援的政策支持をそれぞれ従属変数とし、独立変数には地位に関する情報について二つのコントラスト変数(X1: 地位向上条件−2/3・低地位条件1/3・統制条件1/3, X2: 地位向上条件0・低地位条件−1/2・統制条件1/2)を作成して投入し、媒介変数には集団間地位脅威認知、調整変数にはSDOを投入した。

その結果、Table 1に示す通り、予測に反して地位の高さに関する情報であるX1, X2ともに集団間地位脅威認知に影響を及ぼさなかった(βs=−.01 and −.15, ps=.947 and .481)。したがって、地位の高さに関する情報が身体障害者に対する支援的態度に及ぼす影響に集団間地位脅威認知が介在する媒介過程は示されず、SDOの調整効果も有意ではなかった(βs=−.05 and .32, ps=.780 and .178)。一方、交流場面での援助意図および支援的政策支持に及ぼす影響に関しては、集団間地位脅威認知が援助意図と支援的政策支持にそれぞれ有意な負の影響を及ぼし(βs=−.36 and −.32, ps<.001)、健常者集団の身体障害者集団に対する地位の優位性が脅かされていると感じているほど、身体障害者に対する個人レベル・集団レベルの支援的態度が阻害されることが明らかになった。さらに、SDOが支援的政策支持に有意な負の影響を及ぼしており(β=−.30, p<.001)、SDOが高い者ほど集団レベルの支援を抑制することが示された。

Table 1 援助意図・支援的政策支持における調整・媒介効果の検討

(M)集団間地位脅威認知
ΒβSE
(X1)地位向上vs.現状(低地位・統制)−.01−.01.18
(X2)低地位vs.統制−.11−.15.22
(W) SDO−.08−.06.09
X1×W−.07−.05.19
X2×W.39.32.23
R2.02
(Y)援助意図(Y)支援的政策支持
BβSEBβSE
(X1)地位向上vs.現状(低地位・統制).14.19.17.10.18.16
(X2)低地位vs.統制.18.24.20−.06−.11.20
(M)集団間地位脅威認知−.37−.36***.08−.26−.32***.08
(W) SDO−.18−.15.09−.30−.30***.09
X1×W−.04−.03.18−.15−.15.17
X2×W.23.18.22−.21−.21.22
M×W.06.03.09−.10−.07.09
R2.17*.22***

Note. *** p<.001, * p <.05。Bは非標準化偏回帰係数、βは標準化偏回帰係数を指す。

考察

SDOが高いほど身体障害者に対する集団レベルの支援は低下することが明らかになった。また、集団間の地位変動の脅威を感じると、個人レベル、集団レベルともに、SDOの高低にかかわらず支援的態度が抑制された。しかし、身体障害者の地位の高さに関する情報の操作が集団間の地位脅威認知に影響せず、支援的態度に及ぼす媒介過程は示されなかった。さらに、SDOによる調整効果も認められなかった。したがって、高SDO者における身体障害者の地位向上による支援的態度抑制に、集団間序列構造への脅威が媒介しているという予測は支持されなかった。この点については、総合考察にて議論する。

本研究では、予測に反して高・低SDO者ともに集団間の地位脅威を感じるほど個人レベルの支援である援助意図が低下する結果が認められた。SDOが集団間地位脅威認知に影響を与えないことが示されたことから、SDOと脅威認知は相互に関連するというよりも、それぞれ独立して支援的態度を規定していることが考えられる。つまり、地位構造への脅威を感じると、SDOとは独立に内集団の優位性が脅かされたことに基づいた防衛機制が働き、否定的な態度が促進された可能性もある。

総合考察

本研究では、障害者への支援を阻害する要因として、人々のなかにある序列構造維持動機に注目し、この動機の強さを反映する社会的支配志向性(SDO)と身体障害者への支援的態度との関係を検討した。具体的には、SDOが高い場合、集団間の序列構造(健常者の障害者に対する地位の優位性)への脅威に対する防衛機制として低地位集団である身体障害者に対する支援的態度が弱まる可能性について検証した。その結果、研究1, 2を通して、SDOが高いほど身体障害者に対する支援的態度が抑制されやすいことが示されたが、それは集団レベルの支援に限定されることが明らかになった。他方、個人レベルで行われる対人的援助にはSDOは影響しないことが示された。一見すると、SDOと障害者支援の負の関係には、集団間の序列構造への脅威が関与していることを示唆するものである。しかし、この点を直接検証した研究2では、高SDO者における支援的態度抑制の背景に、身体障害者の地位向上による集団間序列構造への脅威の知覚が影響していることは示されなかった。

研究1では、ステレオタイプ内容モデルに基づき、SDOと身体障害者に対する印象との関連性に着目し、高SDO者において身体障害者を有能あるいは冷たいと認知するほど支援的態度が抑制されることが示された。これは、SDOが高いほど、外集団の社会的地位の高さと有能性の高さが関連しやすいという知見や(Oldmeadow & Fiske, 2007)、競合性への脅威が活性化されやすいという知見(Duckitt, 2006)を踏まえると、支援により低地位にあるとされる身体障害者の地位の向上が想起され、集団間序列構造の変化に敏感な高SDO者ほど支援的態度が抑制されたことを示唆している。

研究2において、高SDO者における支援的態度の抑制に身体障害者の地位向上による集団間序列構造への脅威認知の媒介過程が認められなかった理由として、身体障害者の地位に関する情報の操作が妥当ではなかった可能性がある。また、操作チェックとして測定された低地位感において、地位向上条件と低地位条件に有意な差が見られず、どちらの条件も法的保護が少ないという意見に賛成寄りの回答傾向であったため、項目の尋ね方として不備があった可能性は否めない。これらのことから、身体障害者の地位向上情報が与えられたことによって、客観的な事実として身体障害者を取り巻く現状は未だ社会的に不利な立場であること、すなわち現状の地位の低さを逆説的に喚起させ、地位向上が現実的に想定される問題として捉えられなかった可能性がある。さらに、集団間地位脅威認知の平均値が実験条件を問わず中点を大幅に下回っていることも(M=2.70, SD=0.97)、身体障害者の地位向上が健常者集団の地位の優位性を脅かさないことを示唆している。つまり、身体障害者の地位が向上することによって現状の序列構造が変化し、健常者の地位が低下するというトレードオフ認知にはつながらず、結果として実験操作の効果が認められなかったのかもしれない。また、研究2において、実験操作による支援的態度への影響が見られなかった反面、SDOと脅威認知がそれぞれ独立に影響していた理由として、本研究で定義する序列構造への「脅威」には2種類の異なる側面が混在していた可能性がある。一つは、研究2で操作した身体障害者の地位が向上しているという現状についての情報によって喚起された脅威、もう一つは、身体障害者への支援策により今後地位が向上するであろうという見通しから喚起された脅威である。SDOと脅威認知がそれぞれ支援的態度に影響している点は、おそらく後者によるものと考えられるが、今後、地位向上の操作による脅威と支援策の回答時に喚起される集団間の関係予期による脅威を区別して検討する余地がある。

社会的支配志向性が集団レベル・個人レベルの支援に及ぼす影響

研究1, 研究2ともに高SDO者が身体障害者に対する集団レベルの支援的態度を抑制することが一貫して認められた。すなわち、高SDO者が集団間の序列構造の変化に敏感であるために支援によって身体障害者全体の社会的地位が向上することを忌避し、低地位へと抑圧しようという心的機制が働いたことが伺える。ただし研究2において、脅威認知に対するSDOの効果がなかったことから、身体障害者の地位に関する情報の操作に問題点があったとはいえ、高SDO者における高い脅威認知によりそのようなメカニズムが生じるという想定がどの程度妥当であるかについては今後さらなる検討が必要である。

また、支援の種類によってSDOの影響が異なった点に関しては、Nadler(2002)の提唱する支援と権力関係モデルによる説明が可能である。Nadler(2002)によると、低地位集団に対する支援は、支援の受け手自身で問題を解決できる支援策を提供する「自立志向型支援」と、支援の受け手自身で問題解決が困難であるために全面的に支援を提供する「依存志向型支援」に区別される。集団間序列構造維持の観点に基づけば、自立志向型支援は低地位集団の地位向上を促進し、格差解消の契機になる。反対に、依存志向型支援は、集団間の地位差が顕著となり、地位向上や序列関係に影響を与えない支援である。この議論を踏まえると、本研究での集団レベルでの支援は、支援政策によって障害による社会的障壁や困難を取り除き、身体障害者自身が問題を解決し健常者と対等に活躍することが期待されることから、自立志向型の支援にあたるだろう。そのため、集団間の序列構造が変動することが想起され、それを嫌う高SDO者は支援的態度を抑制したと考えられる。一方で、個人レベルの支援は、現実場面における具体的で直接的な対人援助が求められるものであった。すなわち、当該場面では障害者は健常者に一方的に助けてもらうことになるという意味で援助者と被援助者の地位差が明確となり、序列構造に影響を与えないとされる依存志向型の支援であると考えられる。このため、SDOの影響が認められなかったのかもしれない。しかし、両者の地位差が顕著であるということよりも、実際の交流場面を想起したことで身体障害者個人への支援の必要性が顕現化し、身体障害者の集団性の知覚が緩和されたという見方もできるだろう。今後、個人間の援助と依存志向型の援助の関係について両者の詳細な検討が必要だが、障害者個人あるいは依存志向型に対する援助にSDOが影響しないことは、障害者への支援を引き出す重要な知見であるといえる。

本研究の課題と展望

研究2において、身体障害者の地位に関する情報が集団間序列構造への脅威に影響せず、身体障害者の地位向上が、集団間の序列構造に対して脅威を与えるという前提が崩れた。これは、身体障害者の地位向上によって、集団間の序列構造が変動することを参加者が想起せず、本研究で使用した情報が、想定した集団間の地位脅威認知に結びつかなかった可能性を示している。その理由として、身体障害者集団の特殊性が考えられる。身体障害者は健常者と比較して集団サイズが極めて小さい。さらに、「身体障害」という身体的なハンディキャップを背負っていることから、日常生活で多くの困難に直面し能力を発揮することが期待されにくい(e.g., Fiske et al., 2002)など、健常者と比べて不利であることが明白である。このことから、身体障害者の地位向上を示唆するような情報が与えられたとしても、必ずしも地位向上によって序列関係が逆転する、あるいは現在の社会体制が変化するような脅威を与える集団になるとは認識されなかったことが推測できる。事実、研究2において、実験操作によって身体障害者の地位の向上を示唆した地位向上条件で、序列構造の変動に敏感なSDOの影響が認められず、低地位感の得点は統制条件より高かった。これは、本研究の場合、地位向上情報によって、身体障害者を取り巻く現状がより強く想起され、現実は低地位であるという認知がむしろ強く働いた可能性が考えられる。裏を返せば、身体障害者は、集団間葛藤の対象になるには社会的影響力が弱く、地位の向上が期待されていないことを暗に示している。今後、身体障害者の地位に関する認識を操作する方法論的改善が求められる。

また、「身体障害者」という集団の多様性について考慮する必要もある。障害の種類や程度、障害者自身の特性は多岐にわたり、それぞれの属性によって求められる障害者支援のあり方が異なる可能性は否定できない。現実場面では、障害者が抱える障害の特性や状態、場面に応じた合理的配慮が実施されるものであり、障害者が必要とする支援が過不足なく提供されるためには、支援を阻害するメカニズムを明らかにする際にもさまざまな障害者を想定し、細かい場面設定による検討が求められよう。

結語

本研究の第一の貢献は、集団間の序列構造を維持しようとする動機が、障害者支援の阻害に関係することを示し、当該領域の理論の拡張に寄与した点である。ただし、本研究では、SDOが集団レベルの支援を抑制することが示された一方で、高SDO者が支援全般に対して否定的態度を形成するのではなく、個人レベルで支援が行われる場合や身体障害者に対して温かさを高く評価した場合は、支援的態度は阻害されないことも示唆された。これは、障害者に対する差別や偏見を低減し、「共生社会」の実現を促す新たな手がかりを提供するものであり、本研究の第二の貢献といえる。

脚注

1) 本論文は、第1著者が平成29年度に大阪市立大学文学部に提出した卒業論文の一部を加筆・修正したものである。本研究の内容の一部は、日本グループ・ダイナミックス学会第64回大会、およびThe 20th Annual Convention of the Society for Personality and Social Psychologyにおいて発表されている。

2) 論文の執筆にあたり、名古屋大学大学院情報学研究科の唐沢穣教授、石井敬子教授にご助言をいただきました。この場を借りて深く御礼申し上げます。

3) 現所属:大阪大学スチューデント・ライフサイクルサポートセンター

4) 研究1の質問紙票には、身体障害者との交流場面における当惑感、自己効力感(河内,2004)およびボランティア活動の経験(栗田・楠見,2010)に関する測定項目が含まれていたが、本研究では分析に用いないため報告は割愛した。

5) 探索的にStep 3としてSDO×有能性×温かさを投入した重回帰分析も行ったが、SDO×有能性×温かさの交互作用項は有意ではなかった(β=.20, p=.182)。

6) 研究2の質問紙票は、身体障害者の「害」の字をひらがなで表記した。理由は、行政を中心にひらがな表記が広く使用されており、質問紙を配布した大学でも研究2を実施する際にひらがな表記が採用されたためである。栗田・楠見(2010)は、ひらがな表記が身体障害者に対するイメージと交流態度にポジティブな影響を与えることを示している。しかし、ひらがな表記の効果が接触経験のある者に限られており、さらに身体障害者に対する交流態度を直接的に改善する効果は見られないことから、ひらがな表記が本実験の仮説検証に及ぼす影響は少ないと判断した。

引用文献
 
© 2023 日本社会心理学会
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