Experiencing ostracism in the workplace can significantly affect both employees’ behavior and mental well-being. This study develops a Japanese version of the Workplace Ostracism Scale (WOS-J) to measure instances of workplace ostracism among Japanese employees. Factor analyses indicated that the WOS-J retained a single-factor structure consistent with the original scale and demonstrated high reliability. The findings from three surveys revealed that the WOS-J was significantly correlated with social undermining, affective commitment, leader-member exchange, depression, interpersonal justice, in-role behavior, and self-esteem, which is consistent with the results of the original version. However, in contrast to the previous study, the WOS-J did not exhibit significant correlations with job satisfaction or perceived organizational citizenship behavior (OCB) norms. This discrepancy suggests that job satisfaction may not always reflect satisfaction with workplace relationships and that cultural differences may exist in relation to OCB.
職場における人間関係は,そこで働く人にとって非常に重要な問題である。産業・組織心理学の研究においても,職務満足や動機づけに対人関係が寄与していると示されている(例えば,Herzberg et al., 1959)。人間関係における問題の形態の1つとして,排斥(ostracism)が挙げられる。排斥とは,他者から無視されたり,のけ者にされたりすることを指す(Williams, 2007)。人は進化の過程において,生存上の多く問題を集団で他者と生活することで解決してきた。人は集団や人とのつながり無くしては生きていけず,社会的なつながりに対して根源的な欲求を持つとされる(Baumeister & Leary, 1995)。社会心理学等を中心に排斥が人に与える影響が検討されており,社会的なつながりからの排斥は健康や心理的適応等に対する重大な危機となることが示されてきた(レビューとして,Williams, 2007)。
社会的排斥は,さまざまな場面やコミュニティで日常的に起きる。人,特に成人が一日の中で(あるいは一生の中で)長い時間を過ごすコミュニティの1つは職場であり,職場においても排斥は日常的に経験される(例えば,O’Reilly et al., 2015)。先行研究において社会的排斥が人にさまざまな悪影響を及ぼすことが示されている一方で,多くの時間を過ごし被排斥経験の主要な場となりうる職場に関して,排斥について十分な検討がされていなかった。そこで,職場における被排斥経験尺度(Workplace Ostracism Scale)がFerris et al.(2008)によって開発され,職場における排斥が従業員に与える影響について検討されるようになった。
Workplace Ostracism Scaleとその信頼性・妥当性Workplace Ostracism Scale(WOS)は10項目から成り,確認的因子分析によって1因子であると確認されている。全部で4つの調査が行われており,CFIが.94から.98,SRMRが.03から.04,各項目の因子負荷量が.50から.93,クロンバックのα係数が.89から.96であったと報告されている(Ferris et al., 2008)。
WOSの収束的妥当性および弁別的妥当性については,社会的陰謀,対人的公正,組織市民行動,リーダー・メンバー・エクスチェンジ(Leader-Member Exchange, LMX),年齢,印象操作等の変数によって確認されている。社会的陰謀(social undermining)とは,職場や仕事において個人を貶めるため意図的に行われる対人逸脱行為(例えば,対人関係の構築・維持の阻害,仕事の妨害,評判の毀損)を指す(Duffy et al., 2002)。排斥は対人関係を阻害するものであり,また,被排斥により組織内での評判を落としうるため,排斥は社会的陰謀の一形態としても捉えられる。そのため,社会的陰謀を受けている人ほど,排斥を多く経験すると考えられる。
対人的公正(interpersonal justice)は,組織的公正(組織公平性)(organizational justice)の一要素である。組織における公正の中でも,職場の人間関係にかかわる公正性,すなわち,職場の人々から敬意や礼節のある取り扱いを受けている程度を指す(Colquitt, 2001)。他者を排斥する行為は,敬意や礼節があるとは受け取られないだろう。また,社会的陰謀と同じく,排斥に伴い他の対人的不公正も生起すると考えられる。以上より,排斥を受けている人ほど,自身が対人的公正を欠いた取り扱いを受けていると認識するだろう。
また,企業等の組織には,さまざまな規範が存在し得る。その1つとして,組織市民行動(organizational citizenship behavior)に関する規範が挙げられる。組織市民行動とは,「自由裁量的で,公式的な報酬体系では直接的ないし明示的には認識されないものであるが,それが蓄積することで組織の効率的および友好的機能を促進する個人的行動」(Organ et al., 2006 上田訳 2007, p. 4)を指す。組織市民行動はいくつかの次元(要素)から構成されているが,排斥と関連が深いのは「対人的援助」である。組織市民行動,その中でも特に対人的援助を是とする規範がある組織では,排斥が生じにくいだろう。よって,組織市民行動,とくに対人的援助の規範があると認知されているほど,排斥の頻度は低いと考えられる。
加えて,社会的排斥はLMXと負の相関を示すと予測される。LMX理論では,リーダー(上司)とメンバー(部下)の関係を,二者間の信頼関係や社会的交換の観点から捉える(Graen & Uhl-Bien, 1995)。上司と部下の間に信頼関係や社会的交換が成り立っている場合には,上司と部下が良好な人間関係を築けている(すなわち,上司が部下を受容している)と言える。それだけでなく,上司が部下の職場内での人間関係に気を配る,場合によっては,部下が排斥を受けないよう差配をする,といったことが考えられる。このように,高いLMXが形成されているほど,排斥の頻度は低いだろう。
他方で,被排斥経験の多寡は,年齢とは無関連であると考えられる。これまでの研究で,年齢によらず生涯にわたって排斥は生じうるとされている(Williams, 1997)。よって,職場における排斥も年齢によらず生じると考えられる。
注意すべき点として,被排斥経験の自己報告は,社会的望ましさの影響を受ける(具体的には,頻度を低く回答する)恐れがある。一般的には,他者と良好な人間関係を築くのが望ましいとされていて,孤立している人は否定的な評価を受けやすい(例えば,Lau & Gruen, 1992)。よって,「自身が排斥されていると他者に知られることにより,社会的な評価が損なわれる」という不安を抱く可能性がある。WOSへの回答が社会的望ましさの影響を受けている場合,WOSと印象操作の尺度は負の相関を示すと予測される。
WOSの基準関連妥当性については,情緒的コミットメント,職務満足,役割内行動,自尊心,抑うつ等との関連性から検証されている。情緒的コミットメントとは,会社組織に対する感情的な愛着を指す(Allen & Meyer, 1990)。情緒的コミットメントは,職場への同一視によって高まる。しかし,職場で他の従業員から排斥されると,職場への帰属意識が低下し,情緒的コミットメントも損なわれる。また,被排斥の経験は個人にとって非常に苦痛であり,ネガティブな感情をもたらす(例えば,Williams et al., 2000)。そして,職場におけるネガティブ感情の経験は職務満足を低める(Thoresen et al., 2003)。以上より,排斥されている人ほど職場への情緒的コミットメントが低く,職務満足も低いと予測される。
職場における排斥は,役割内行動にも影響を及ぼすと考えられる。役割内行動(in-role behavior)とは,職務を遂行する上で必要な,あるいは職務上公式的に期待されている行動である。社会的排斥の研究では,被排斥経験により自己制御が損なわれるという知見が示されている(例えば,Baumeister et al., 2005)。職場における自己制御の欠如は手抜き等を引き起こし,役割内行動の減少につながると予測される。また,組織による従業員への支援や援助,すなわち組織的支援(organizational support)を受けられると知覚することで,従業員の役割内行動が促進される(Piercy et al., 2006)。職場で排斥されている者ほど,組織的支援を受けられると知覚するのは難しく,役割内行動が少なくなるだろうと考えられる。
加えて,職場における排斥は抑うつや自尊心にも影響を及ぼす。進化の過程を顧みると,人は集団で他者と生活することで生存上の問題を解決してきた。そのため,人にとって他者や集団とのつながりは非常に重要であり,社会的つながりに対して根源的な欲求を持つ(Baumeister & Leary, 1995)。社会的つながりから断たれる排斥は,抑うつをはじめとしたさまざまな心身の不適応を引き起こす(例えば,Ortega, 1969)。また,人にとって社会的つながりの構築が非常に重要であるため,排斥は他者からの否定的な評価とも受け取れる。そのため,排斥を受けた者は自尊心が低下する(例えば,Williams et al., 2000)。また,ソシオメーター理論によると,自尊心は他者からの受容や集団への所属の程度を感知する主観的な計器として機能する。そして,他者との関係に危機が生じた際には,自尊心の低下という形で警告が発せられる(Leary & Baumeister, 2000)。このように,被排斥経験が多くなるほど,抑うつは強くなり,自尊心は低くなると考えられる。
Ferris et al.(2008)では,予測通り,WOSは社会的陰謀および抑うつと正の相関,対人的公正,組織市民行動,LMX,情緒的コミットメント,職務満足,役割内行動,自尊心と負の相関を示し,年齢とは相関していなかった。また,WOSは印象操作とも相関しておらず,WOSへの回答は社会的望ましさの影響を受けないことが示された。
本研究の目的職場における排斥に関する研究では,WOSを用いた調査が主要な研究方法となっている(Spector & Howard, 2021)。これまでにWOSを用いて実施された研究では,例えば,逸脱行動(Jahanzeb & Fatima, 2018; Jahanzeb et al., 2023)やパフォーマンスの低下(O’Reilly et al., 2015)等,被排斥経験と職務行動との関連が示されている。また,職場へのコミットメントの低下や離職意図の増大(Zheng et al., 2016)等,職務に関する態度とも関連が見られる。さらには,その影響は職場内にとどまらず,家庭での人間関係にも負の影響を及ぼしうる(Liu et al., 2013)。このように,職場での排斥がさまざまな悪影響を従業員に及ぼしうることが示されており,排斥の影響を明らかにするとともに,職場における排斥を抑制する必要がある。
ところが,本邦においては職場における排斥の影響について十分に検討されているとは言い難い。本邦では職場でのハラスメントに対しては社会的関心も高く,特にセクシャルハラスメントやマタニティ・パタニティハラスメント,パワーハラスメントに関しては,企業に対してハラスメント防止の措置義務が課される等,対策が進んでいる。しかし,職場における排斥はハラスメントと同様に深刻な問題であり,場合によってはハラスメント以上に大きな影響を持ちうる。例えば,アメリカ合衆国で働く人たちを対象に行われた調査では,過去6か月の間に,いじめやハラスメントを受けたと回答した人の割合が48.8%だったのに対して,何かしらの排斥を受けたと回答した人は71.0%にのぼった。また,職務満足や離職意図,心身の健康等に与える影響も,いじめやハラスメントよりも排斥の方が強かった(O’Reilly et al., 2015)2)。このように,職場での人間関係に関する問題を考える上では,排斥の影響についても検討が必要となる。加えて,職場における多様性の尊重やインクルーシブな環境の実現が重要な課題とされており(例えば,三菱UFJリサーチ&コンサルティング,2020),こういった観点からも職場における排斥についての検討が望まれる。
そこで本研究では,本邦での職場における排斥に関する研究の端緒としてWOSの日本語版(WOS-J)を作成し,信頼性と妥当性を検討するため,インターネット調査会社を用い全部で3件の質問紙調査を実施する。排斥の形態は文化を越えて普遍的であると考えられており(Schaafsma, 2017),WOSは本邦においても適用可能な尺度であると考えられる。妥当性の検証には,原版の検証に用いられた尺度の中から,職場における排斥との関わりが強く,日本語訳された尺度が入手可能なものを用いる。原版に倣い,収束的妥当性および弁別的妥当性については,社会的陰謀,対人的公正,組織市民行動,リーダー・メンバー・エクスチェンジ,年齢,印象操作を用いて検討する。同様に,基準関連妥当性については,コミットメント,職務満足,役割内行動,自尊心,抑うつを用いて検討する。なお,収束的妥当性の検討に用いたのは,社会的排斥と同様の,職場におけるネガティブな相互作用に関する変数であり,基準関連妥当性の検討には,被排斥経験によって影響を受けると考えられる変数を用いた(Ferris et al., 2008)。以上の尺度について,質問の項目数が著しく偏らないよう3回の調査(調査1-1,調査1-2,調査2)に分け,WOS-Jの妥当性を検討する。特に調査2は,WOS-Jの妥当性を検討すると同時に再検査信頼性を検討することも目的とし,調査1-1・1-2の協力者を対象に約1か月の間隔を置いて実施した。
原著者より許諾を得た上で,学術論文を専門的に取り扱う翻訳サービスにWOSの翻訳を依頼した。翻訳会社では,1名の翻訳者が日本語訳を作成し,この日本語訳をもとに別の翻訳者が英語へのバックトランスレーションを行った。その後,上記2名の翻訳者とは独立したチェッカーが,原文と日本語訳およびバックトランスレーションを比較した上で,原文の言葉遣いやニュアンスに基づき,“others”が「皆」と訳されていたのを「他の人たち」に修正した。他に,原文とバックトランスレーションで意味的な内容の違いは確認されなかった。なお,いずれの翻訳者,チェッカーも,心理学を含む学術論文の翻訳経験を十分に有していた。
最後に,本稿著者が翻訳結果に問題がないか確認し,調査協力者が回答しやすいよう,助詞を書き換える,読点を加える等,文の意味が変わらない範囲内で文言の一部を微調整した。翻訳後の尺度の項目は,後出のTable 1を参照のこと。
調査対象原版での調査対象が企業等の従業員や公務員であったことから,本研究で実施した3件の調査はいずれも18歳以上で公務員もしくは会社員として現在働いている人を対象とし,会社経営者・役員,自営業,自由業は対象外とした。また,原版ではfull-time employeeを調査対象とし1週間の平均労働時間が約40時間だったため,本研究でもパート・アルバイトを対象外とした3)。
先行研究で示された本研究で用いる尺度とWOSの相関係数(の絶対値)の最小は,0.25近辺であった(WOSと情緒的コミットメントr=−.24,WOSと役割内行動r=−.26; Ferris et al., 2008)。G*Power(ver. 3.1.9.7)を用い,検出力0.8,有意確率0.05で,r=.25のときに無相関検定(両側)に必要なサンプルサイズを算出した結果,123となった。最小限化(satisficing)等による不良回答の割合を20%程度と見込み(cf. 増田他,2019),調査1-1および1-2では160を目標数とした。調査2では,調査1-1または1-2の回答時から勤務先の変更があった人を除外するため,分析除外が増える可能性を考慮し,170を目標数とした。ただし,本研究で用いたインターネットリサーチサービスでは予備として,設定された目標数に対してプラス10~20%程度の余剰数が加わるため,実際に得られた回答数は目標数よりも多かった。なお,後述のように,不良回答等を除いた実際の分析対象者数は,G*Powerで算出された必要サンプルサイズと同程度となった。
調査1-1調査協力者・手続き日本のインターネットリサーチ会社を用い2022年8月3日に調査を実施し,176名から回答を得た。性別の内訳は,男性110名,女性66名だった。また,職業の内訳は公務員14名,会社員(事務系)64名,会社員(技術系)49名,会社員(その他)49名だった4)。平均年齢43.0歳(SD=11.9),平均勤続年数13.0年(SD=11.2),1週間あたりの労働時間の平均は35.0時間(SD=14.6)だった。
初めに,職場における経験等について尋ねる調査である旨と倫理的配慮やデータの使用目的に関する説明を表示し,これらを理解した上で調査協力に同意できる場合には「回答を開始する」を選択し回答を開始するよう求めた。続けて,不良回答を抑制する目的で,「冒頭宣誓」(増田他,2019)を求めた。具体的には,「あなたは質問をきちんと読んで,真面目に答えていただけますか?」と尋ね,「私は質問をきちんと読んで,真面目に回答します」という回答へのチェックを求めた。なお,この回答にチェックしなかった場合には調査終了となり,調査協力者数にもカウントされていない。続けて,現在の職場における勤続年数(1年未満の端数は切り上げ)および1週間あたりの労働時間を回答してもらった。以降,下記の順で尺度への回答を求めた。なお,各尺度において,項目の呈示順はランダムとした。
WOS日本語版職場における被排斥の経験について,日本語訳したWOS尺度10項目で測定した。「1:まったくない」,「2:めったにない」,「3:たまにある」,「4:ときどきある」,「5:しばしばある」,「6:しょっちゅうある」,「7:いつも」の7件法で尋ねた。
社会的陰謀社会的陰謀尺度を用い,職場で社会的陰謀を受けた頻度を測った(Duffy et al., 2002; 櫻井,2014)。全17項目の行為が過去1年間の間にどのくらいあったか,「1:一回もない」,「2:1, 2回くらい」,「3:ときどきある」,「4:ひんぱんにある」,「5:ほとんど毎日ある」の5件法で尋ねた。なお,質問文をよく読まずに回答する不良回答者を検出するために,「この項目では,左(または右)から2番目の選択肢を選んでください」という項目(Instructional Manipulation Check, IMC)を8問目および14問目に配置した。
印象操作バランス型社会的望ましさ反応尺度日本語版の印象操作因子12項目を用い,社会的に望ましい方向に意図的にゆがめた回答をする傾向が見られるか,測定した(Paulhus, 1991; 谷,2008)。「1:まったくあてはまらない」から「5:まったくその通りである」の5件法で回答を求めた。
調査1-2調査協力者・手続き調査1-1と同じリサーチ会社を用い2022年8月4日に調査を実施し,182名から回答を得た。対象は,調査1-1に回答していない者とした。性別の内訳は,男性123名,女性59名だった。また,職業の内訳は公務員15名,会社員(事務系)65名,会社員(技術系)43名,会社員(その他)59名だった。平均年齢44.3歳(SD=12.0),平均勤続年数12.9年(SD=10.8),1週間あたりの労働時間の平均は37.3時間(SD=12.8)だった。
初めに,調査1-1と同様の説明を表示し,調査協力に同意できる場合には回答を開始するよう求めた。続けて,「冒頭宣誓」を求め,現在の職場における勤続年数および1週間あたりの労働時間を回答してもらった。以降,下記の順で尺度への回答を求めた。なお,各尺度において,項目の呈示順はランダムとした。
WOS日本語版調査1-1と同様だった。
組織市民行動(対人的援助)の規範認知職場において互いに助け合うべきだという規範が持たれていると思うか,日本版組織市民行動尺度の対人的援助因子8項目(田中,2002)を用いて尋ねた。本研究では規範認知を測定するため,質問文は「実際にどうであるかは別として,あなたの職場の人々はどのように仕事をするべきだと考えていますか?」とした。「1:まったくあてはまらない」から「5:とてもあてはまる」の5件法で回答を求めた。
職務満足現在の仕事への満足度を,6項目で測定した(正木・村本,2017)。「1:まったくあてはまらない」から「5:とてもあてはまる」の5件法だった。
リーダー・メンバー・エクスチェンジ調査協力者と上司との関係性について,LMX尺度日本語版7項目で尋ねた(Graen & Uhl-Bien, 1995; Kawaguchi et al., 2021)。なお,調査画面設計上の都合により,本研究では,全項目を「1:まったくあてはまらない」から「5:とてもあてはまる」の5件法で尋ねる形式とした。なお,調査1-1で用いたものと同様のIMC項目を,4問目および7問目に配置した。
抑うつK6質問票の日本語版6項目を用い,抑うつの程度を測定した(古川他,2003; Kessler et al., 2002)。「1:まったくない」,「2:すこしだけ」,「3:ときどき」,「4:たいてい」,「5:いつも」の5件法だった。
調査2調査協力者・手続き再検査信頼性の検証に用いるため,対象は調査1-1もしくは調査1-2のいずれかに回答した者とした。調査開始は調査1-1および調査1-2からおよそ1か月後とし,2022年9月3日から9月4日まで実施した。調査1-1・調査1-2と同じリサーチ会社を用い,184名から回答を得た。性別の内訳は,男性120名,女性64名だった。また,職業の内訳は公務員13名,会社員(事務系)71名,会社員(技術系)40名,会社員(その他)60名だった。平均年齢44.6歳(SD=11.1),平均勤続年数12.2年(SD=10.0),1週間あたりの労働時間の平均は37.6時間(SD=13.2)だった。
初めに,調査1-1と同様の説明を表示し,調査協力に同意できる場合には回答を開始するよう求め,「冒頭宣誓」を求めた。続けて,調査1-1もしくは調査1-2の回答時点から転職や異動等で勤務先が変わっていないか尋ね,現在の職場における勤続年数および1週間あたりの労働時間を回答してもらった。以降,下記の順で尺度への回答を求めた。なお,各尺度において,項目の呈示順はランダムとした。
WOS日本語版調査1-1と同様だった。
対人的公正組織的公正尺度日本語版の対人関係公正性因子4項目を用い,職場において尊重され,礼節をもった対応を受けているか測定した(Colquitt, 2001; Shibaoka et al., 2010)。「1:ほとんどそうではない」から「5:まったくそうだ」の5件法で回答を求めた。なお,WOSでは上司に限らず職場の人たちとの関係性について尋ねているため,本尺度の質問文を「上司は」から「職場の人は」に変更した。
役割内行動与えられた職務や役割を責任もって遂行する意志について,役割内行動尺度4項目を用いて測定した(金,2009; Williams & Anderson, 1991)。「1:まったくあてはまらない」から「5:とてもあてはまる」の5件法で尋ねた。
情緒的コミットメント職場への情緒的コミットメントを測定するため,組織コミットメント尺度の愛着要素因子6項目を用いた(高木他,1997)。「1:そう思わない」から「5:そう思う」の5件法だった。
組織内自尊感情組織内自尊感情尺度日本語版(8項目)を用い,職場のメンバーとしての自尊心を測定した(Matsuda et al., 2011; Pierce et al., 1989)。「1:まったくあてはまらない」から「5:とてもあてはまる」の5件法だった。なお,調査1-1で用いたものと同様のIMC項目を,4問目および7問目に配置した。
各調査において,IMCの2項目で質問文の指示通りに回答しなかった者を,分析対象から除外した。その結果,調査1-1の分析対象者は104名(男性64名,女性40名;年齢M=43.9, SD=11.6;勤続年数M=13.7, SD=11.6;週の労働時間M=35.4, SD=14.1)5),調査1-2の分析対象者は126名(男性82名,女性44名;年齢M=45.5, SD=12.1;勤続年数M=13.8, SD=10.6;週の労働時間M=38.5, SD=11.5)となった。上記に加え,調査2では調査1-1もしくは調査1-2の回答時から勤務先の変更があった者を分析対象外とした。これは,勤務先が変われば,回答者の人間関係も変わり,排斥経験の有無も影響を受けると考えられるためである。その結果,調査2の分析対象者は148名(男性98名,女性50名;年齢M=45.1, SD=11.1;勤続年数M=12.2, SD=9.9;週の労働時間M=38.0, SD=12.7)となった。
WOS日本語版の因子構造WOS日本語版について,Ferris et al.(2008)に従い10項目1因子構造として確認的因子分析を行った(Table 1)。その結果,CFIの平均が.90(順に,.81, .98, .91),SRMRの平均が.05(.08, .02, .04),RMSEAの平均が.16(.19, .10, .18),α係数の平均が.93(.88, .96, .94)だった。CFIはサンプルサイズ,RMSEAはサンプルサイズと自由度の影響を受け,サンプルサイズや自由度が小さいとCFIとRMSEAは適合度が悪化する方向でバイアスを受けやすいとされている(例えば,Shi et al., 2019, 2022)。試みに,Time 1-1およびTime 1-2のサンプルを統合して確認的因子分析を行った結果,CFI=.93, RMSEA=.14, SRMR=.04となり,Time 1-1のみで分析を行った場合(CFI=.81)よりもCFIの適合度が高くなっていた。他方で,サンプルサイズや自由度の影響を比較的受けにくく(例えば,Hu & Bentler, 1999; Shi et al., 2022),また,誤ったモデルの識別に長けているとされている(Hu & Bentler, 1998)SRMRの適合度が良好であった。
項目 | 因子負荷量 | ||
---|---|---|---|
調査1-1 | 調査1-2 | 調査2 | |
1. 職場で,他の人たちがあなたのことを無視した | .82 | .95 | .92 |
2. あなたが入ってくると,他の人たちがその場を離れた | .49 | .96 | .93 |
3. 職場で,あなたがあいさつしても応答がない | .66 | .82 | .71 |
4. あなたは,職場の混雑したランチルームや休憩室で,しかたなく一人で座った | .59 | .85 | .75 |
5. 職場で,他の人たちがあなたを避けた | .89 | .95 | .92 |
6. あなたは職場で,他の人たちがあなたを見ようとしないことに気づいた | .83 | .90 | .88 |
7. 職場で,他の人たちが会話からあなたを締め出した | .57 | .97 | .95 |
8. 職場で,他の人たちがあなたと話すことを拒んだ | .79 | .98 | .93 |
9. 職場で,他の人たちがあなたがそこにいないかのようにふるまった | .89 | .93 | .88 |
10. 職場で,他の人たちが休憩をとりに出かける時,あなたを誘ったり,何かほしいかと尋ねたりしてくれなかった | .46 | .34 | .44 |
CFI | .81 | .98 | .91 |
SRMR | .08 | .02 | .04 |
RMSEA | .19 | .10 | .18 |
注)「職場での出来事についてお聞きします。以下の各項目について,あなたはどのくらいの頻度で経験することがありますか?」と尋ね,「1:まったくない」,「2:めったにない」,「3:たまにある」,「4:ときどきある」,「5:しばしばある」,「6:しょっちゅうある」,「7:いつも」の7件法で回答を求めた。
3回の調査を通じ,「職場で,他の人たちが休憩をとりに出かける時,あなたを誘ったり,何かほしいかと尋ねたりしてくれなかった」の項目の因子負荷量が0.35から0.47と,やや低い値が示された。しかし,排斥は「社会的に関わろうとしない不作為(inactions)」(例えば,Robinson et al., 2013; Williams & Nida, 2009)であり,当該項目のように「何もしてくれなかった」ことも排斥の重要な一形態である。上記の理論的背景,および適合度指標(特にSRMR)の結果を踏まえ,WOS日本語版も全10項目の1因子構造を採用した6)。
WOS日本語版の妥当性妥当性検討のため,各調査で測定した尺度とWOS日本語版の相関係数を算出した。
調査1-1では,予測通り,WOS-Jと社会的陰謀の間に有意な正の相関が見られ,印象操作とWOS-Jの間には有意な相関が見られなかった(Table 2)。調査1-2では,予測通り,WOS-JとLMXの間に有意な負の相関,WOS-Jと抑うつの間に有意な正の相関が見られた。しかし,WOS-Jと対人的援助の組織市民行動の規範認知および職務満足の間には有意な相関関係が見られず,予測と一致しない結果となった(Table 3)。調査2では,対人的公正,役割内行動,情緒的コミットメント,組織内コミットメントのいずれもWOS-Jと有意な負の相関関係を示しており,予測通りの結果が得られた(Table 4)。いずれの調査においても,予測通り,WOS-Jと年齢の間には有意な相関が見られなかった。
M | SD | 1 | 2 | 3 | 4 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1. WOS-J | 1.51 | 0.78 | .88 | |||
2. 年齢 | 43.9 | 11.6 | −.11 | — | ||
3. 社会的陰謀 | 1.40 | 0.65 | .73*** | −.17 | .96 | |
4. 印象操作 | 3.24 | 0.56 | −.12 | .14 | −.26** | .68 |
注)対角線上の太字の数値は,各尺度のα係数を表す。WOS-J=職場における被排斥経験尺度日本語版
* p<.05, ** p<.01, *** p<.001
M | SD | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1. WOS-J | 1.60 | 0.98 | .96 | |||||
2. 年齢 | 45.5 | 12.1 | −.06 | — | ||||
3. OCB規範認知 | 3.44 | 0.75 | −.01 | .08 | .91 | |||
4. 職務満足 | 3.07 | 0.96 | −.04 | .02 | .17 | .90 | ||
5. LMX | 3.01 | 0.81 | −.31*** | .09 | .19* | .48*** | .92 | |
6. 抑うつ | 1.84 | 0.94 | .57*** | −.10 | .07 | −.33*** | −.40*** | .96 |
注)対角線上の太字の数値は,各尺度のα係数を表す。WOS-J=職場における被排斥経験尺度日本語版
* p<.05, ** p<.01, *** p<.001
M | SD | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1. WOS-J | 1.47 | 0.87 | .94 | |||||
2. 年齢 | 45.1 | 11.1 | −.03 | — | ||||
3. 対人的公正 | 3.55 | 0.81 | −.32*** | .07 | .89 | |||
4. 役割内行動 | 4.28 | 0.80 | −.25** | .19* | .57*** | .94 | ||
5. 情緒的コミットメント | 3.15 | 0.95 | −.38*** | .09 | .28*** | .30*** | .91 | |
6. 組織内自尊感情 | 3.60 | 0.66 | −.33*** | .20* | .35*** | .42*** | .46*** | .90 |
注)対角線上の太字の数値は,各尺度のα係数を表す。WOS-J=職場における被排斥経験尺度日本語版
* p<.05, ** p<.01, *** p<.001
再検査信頼性検討のため,調査2のWOS-J(Time 2)と,その約1か月前(調査1-1もしくは調査1-2:Time 1)のWOS-J間の相関係数を算出した。その結果,r=.68(p<.001)と有意な正の相関が見られた。また,Time 1とTime 2のWOS-J得点について,級内相関係数を算出した。その結果,ICC(2, 1)=.67(p<.001)だった。
本研究は,Workplace Ostracism Scaleの日本語版(WOS-J)を作成し,その信頼性および妥当性の検討を目的とした。その結果,CFIやRMSEAの値には留意が必要なものの,原版と同様にWOS-Jも全10項目の1因子構造を持つことが確認された。
再検査信頼性を検討するため,調査1-1および調査1-2(Time 1)から約1か月の間隔を開け,調査2(Time 2)を行った。その結果,Time 1とTime 2の間に有意な正の相関が見られたものの,相関係数はやや低かった(参考として,小塩,2016)。他方で,級内相関係数は中程度(moderate)の信頼性を示しており(Koo & Li, 2016),WOS-Jは一定の再検査信頼性を有していると考えられる。社会的排斥にはさまざまな形態があり(参考として,Wesselmann et al., 2016),WOSも10項目から構成されるがそれぞれ異なる形態を示している。職場で排斥を受けている状態が続いていたとしても,排斥の具体的な形態やその頻度はその時々で変わりうると考えられ,そのためTime 1と2の相関係数があまり高くなかった可能性がある。職場で被排斥状態にある者が,どういった形態の排斥をどの程度の頻度で受けるのか,経時的な変化についても検討の余地があるだろう。
年齢,印象操作,社会的陰謀,情緒的コミットメント,LMX,抑うつ,対人的公正,役割内行動,自尊心に関しては,WOS-Jとの間に原版と同様の相関関係が見られた。具体的には,WOS-Jは,情緒的コミットメントやLMX,対人的公正,自尊心,役割内行動と負の相関を示した。他方で,社会的陰謀や抑うつとは正の相関を示した。また,年齢および印象操作とは無相関だった。これらの結果は,WOS-J日本語版の妥当性を示すものと考えられる。
上記の結果は,尺度の妥当性だけでなく,従業員の勤続意志やモチベーションにおいて,職場における排斥が重要な観点となることを示している。例えば,WOS-Jは情緒的コミットメントと負の相関関係があった。(情緒的コミットメントを含む)組織コミットメントは,離職意図・離職行動やワーク・モチベーションとつながりがあるため(レビューとして,Mathieu & Zajac, 1990),職場における排斥の抑止が,従業員のモチベーションを維持し組織につなぎとめることにつながるだろう。
他にも,従業員のメンタルヘルスにおいても,職場における排斥は重要な問題となる。これまでの研究で,被排斥経験が心理的不適応につながると繰り返し示されてきたが,本研究でもWOS-Jと抑うつとの間に正の相関,自尊心との間に負の相関が見られた。本研究は,従業員のメンタルヘルスをケアするにあたって,職場における排斥も重要な視座となることを示したと言える。従業員のストレスチェックが義務化される等,本邦においても組織の従業員のメンタルヘルスケアに対する関心が高まっている。今後,職場における排斥について,さらなる研究の進展が望まれる。
他方で,本研究では,職務満足および対人的援助の規範認知において,原版とは異なる結果が得られた。原版では,WOSと職務満足の間には有意な負の相関が確認された。しかし,本研究ではWOS-Jと職務満足は相関していなかった。本研究で用いた職務満足の尺度は,主に仕事そのものについて尋ねる項目から成っていた(例えば,「今の仕事にやりがいを感じる」)。よって,仕事そのものへの満足度と職場での被排斥経験(人間関係)が直接的に関係せず,WOS-Jと職務満足が相関していなかった可能性が考えられる。例えば,「職場での人間関係には問題があるが,仕事そのものには満足している」,逆に「職場での人間関係は良好だが,仕事内容には不満がある」と考える人の存在は,十分に想定できる。NHK放送文化研究所による「仕事と生活についての国際比較調査・2015」のデータでも,人間関係,あるいは仕事そのものへの評価は,それぞれ独立に仕事の満足度に影響を及ぼしていることが示されている(村田,2016)。このように,職場での被排斥経験は,本研究で測定した職務満足,つまり仕事そのものへの満足とは相関しなかったと考えられる。他方で,原版で用いられた職務満足の尺度は,人間関係をはじめ,さまざまな側面を含みうる質問だったため,WOSと相関していた可能性が考えられる(例えば,“All in all, I am satisfied with my job”, “In general, I like working here”, “I find real enjoyment in my work”)。しかし,結果の解釈には慎重を期すべきであり,職場での被排斥経験と職務満足の関係性について,引き続き検討していく必要があるだろう。
組織市民行動(対人的援助)の規範認知に関しても,原版ではWOSと負の相関を示したのに対して,本研究では相関が見られなかった。組織市民行動はどのような動機から生じるのだろうか。アメリカで行われた研究では,組織市民行動は,他者からの評価への動機(外的な自己概念に基づく動機)や自身の利益のためという動機(道具的な動機)とは相関しない,あるいは負の相関を示すという結果が得られている(Barbuto et al., 2003; Barbuto & Story, 2011)。また,組織市民行動を従属変数とした重回帰分析でも,他者からの評価および自己利益の2つの動機が負の影響を及ぼしていた(Barbuto & Story, 2011)。しかし,日本における組織市民行動の多くは,組織市民行動に従事することによって自身の評価が高まる,あるいは自身が何らかの利益を得られる,という動機に基づいている可能性が指摘されている(西田,1997)。また,組織市民行動を従属変数とした重回帰分析では,自己利益の動機が正の影響を及ぼしていた(潮村・松岡,2005)。よって本邦においては,職場内で他の従業員を手助けすべきという規範があったとしても,実際に他者を援助するのは自身の利益や評価向上が見込まれるときに限られる可能性も考えられる。そのような場合には,対人的援助の規範があったとしても,例えば,評価者の目の届かないところでは排斥が生じるかもしれない。この場合,対人的援助の規範認知とWOS-Jは相関しないだろう。また,対人援助の規範認知を測定する項目が職務に関わるものであったのに対して,WOS-Jの項目には職務外の行動も含まれる(例えば,「あなたは,職場の混雑したランチルームや休憩室で,しかたなく一人で座った」)。対人的援助が評価向上に動機づけられているとすれば,職務に関わる援助行動の方が組織内で公的に評価されやすく,職務外での援助行動は起きにくいかもしれない。WOS-Jと対人援助の規範認知が相関しないのは,原版が作成されたアメリカと日本の文化差と言えるのか,本研究の結果のみでは断言できず,今後の研究が期待される。
1) 本研究は,JSPS科研費JP20K14139の助成を受け実施された。また,著者の所属機関に設置されている倫理委員会の審査を受け,承認を得た(倫理委員会番号:21-006)。尺度の翻訳および英文の校正において,Crimson Interactive Pvt. Ltd.の協力を得た。
2) 無視や仲間はずれ等を指す排斥に対して,いじめやハラスメントは身体あるいは言語による能動的な加害を指す。詳しい議論は,O’Reilly et al.(2015)やWilliams & Nida(2009)を参照。
3) 原版での調査対象に合わせるためにパート・アルバイトを本研究の調査対象外としたが,本尺度がパート・アルバイトとして働く人々に適用不可能であることを意味するものではない。
4) 原版では例えば,調査1の協力者は“sales(15%), computer(12%), financial(8%), education(8%), government(6%), manufacturing(5%), health care(5%), and food services(5%)”(Ferris et al., 2008, p. 1352)と記されていて,本研究の協力者と大きな違いは見られないと考えられる。
5) 調査1-1において,IMCでの不良回答率が約41%だった(176名中,72名)。オンライン調査における不良回答について調査をした三浦・小林(2016)では,インターネット調査会社モニタにおけるIMC不良回答率は40%強だった。同様に,Oppenheimer et al.(2009)では,IMCの不良回答率は35%と46%だったと報告されている。これらの先行研究に鑑みて,本研究の調査1-1における不良回答率は特筆して高いものではなかったと考えられる。
6) 当該項目を除いた9項目を用いて分析した場合も,結果に大きな違いは見られなかった。
本研究において,開示すべき利益相反関連事項はない。