抄録
現在、我々はカイコでのGAL4/UASエンハンサートラップ系の構築を行っている。このシステムにはpiggBac転移酵素を高発現する形質転換系統を必要とする。しかし、piggyBacベクターでは転移酵素遺伝子を導入することはできない。また、異なる複数のトランスポゾンベクターをエンハンサートラップに用いることができれば、染色体中にくまなくレポーター遺伝子を導入することができると考えられる。そこで、我々はTc1/marinerファミリーに属する転移因子Minosをカイコの形質転換ベクターとして用いることができるか否かを検討した。 カイコアクチンA3プロモーターを上流に連結したGFP遺伝子を組み込んだMinos由来のベクタープラスミドを約5000個の卵に注入し、次世代でスクリーニングを行った。その結果、GFP発現個体を含む蛾区が2蛾区得られた。両蛾区のGFP陽性個体について導入遺伝子に近接するゲノム領域の塩基配列を決定したところ、両端のIVRに隣接する2塩基はMinosの標的配列であるTAであった。また、形質転換体の後代における分離比から導入遺伝子はゲノム中で安定に維持されていることが示された。以上の結果よりMinosはカイコの形質転換ベクターとして利用できることが明らかとなった。