天蚕は卵内で幼虫体を形成した後,前幼虫態で休眠越冬する。この休眠は長期低温処理や、イミダゾール系化合物KK-42により打破される(SUZUKI et al., 1989,1994)。しかし,休眠前幼虫が低温やKK-42のシグナルをどのように受容・伝達するかは不明である。KK-42アフィニティークロマトグラフィーにより、休眠前幼虫全体の可溶性画分から45KDaKK-42結合タンパク質が同定された(SHIMIZU et al., 2002)。そこで、このタンパク質抗体を天蚕休眠前幼虫の腸内に注入後、KK-42を塗布し、休眠打破機構への影響を検討した。その結果、このタンパク質の抗体によってKK-42→→→休眠打破の経路は阻止されることなく、ほとんどの休眠前幼虫は覚醒した。一方、45KDaKK-42結合タンパク質抗体によるWestern blottingによって、中枢神経系(CNS)に約90KDaのシグナルが検出された。従って、この90KDaKK-42関連タンパク質の内部配列の解析を試みた。