日本蚕糸学会 学術講演会 講演要旨集
日本蚕糸学会第73回学術講演会
セッションID: 316
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暗色遺伝子で標識されたWとZ染色体との転座の作成
*大沼 昭夫
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抄録

 Z染色体の平衡致死系統を作成し雄蚕のみを得た事については既に報告した。しかし,この系統のWに転座したZは比較的大きく,繭重などの雌雄差が正常値より小さかった。この点を改善するため,新たにZの小部分がW染色体に転座した系統を作成する事とした。幸いZの平衡致死系統を利用すればT(W;Z)の作成は比較的容易であると考えられる。なお作成後の雌雄鑑別を簡易にするため限性暗色でZの転座系統を作成した。 方法は限性暗色mot系統の雌(T(W;2)pM/Z + + +)に平衡致死雄(Z sch ℓ1 +/Z sch + ℓ2)を交配した場合,通常次代のsch雌は致死し+雄のみが得られる。しかし,この限性系統で組換が起り致死遺伝子に対応するZ部分を雌が保有すれば生存しschが出現すると推測される。そこで上記の実験を行ったところ,予期通りsch(0.1% 35頭)が見出された。次にこれら雌個体の染色体構成を明らかにするため,既に報告した形蚕や黄血遺伝子で標識されたZ染色体を持つ平衡致死雄を交配し,次代の分離から転座したZの大きさを判断した。 その結果,3系統が限性暗色でZ染色体のℓ1(od)座位より外側の小部位が転座したT(2;W;Z) pM;+ℓ2であると考えられた。

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© 2003 社団法人 日本蚕糸学会
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