日本教科内容学会誌
Online ISSN : 2189-2679
教科専門科目における探究活動に関する実践的研究
数学科「代数学」の講義での実践
花木 良
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2023 年 9 巻 1 号 p. 41-49

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抄録

日本教科内容学会では,教科内容学に基づく教員養成のための教科内容構成の開発を行っている。その中で,数学の「仮説4教科内容構成の具体」では,①数学の体系性,②学校数学との繋がり,③現実世界との繋がり,④数学の実用性,⑤数学の文化的価値,⑥探究活動の6つの構成要素が挙げられている。そして,『要素⑥は,他の5要素の理解を深め,また数学的な発想力や工夫する力を育成するために取り入れるものである』としている。学校数学(小学校・中学校・高等学校で学習する算数・数学)では,課題学習やSSH,理数探究などで,探究活動が拡充されている。また,高校生は数学の未解決問題に興味をもち探究することが知られている。研究の目的は,数学科代数学の講義で,オリジナル教科書を作成し,学生の探究活動を実現することである。ここで,探究活動は,自分で手を動かして実験的に計算してみたり,法則や公式を発見したり,興味のある数や定理を調べてみたりし,講義内容に加えて新たな知見を得る行為と規定する。研究方法は,実際に教科書を作成し,学生に探究課題を課し,発表会を実施し,発表内容を分析することである。教科書には,数に関する未解決問題,分数を小数で表す題材などを入れ,学校数学や探究を意識した。発表会では,どの発表でも講義内容に加えて新たな知見が入っていたため,すべての学生が探究活動を行えていた。

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© 2023 日本教科内容学会
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