本稿は, 櫨蝋燭を作る仕事から歴史学への思考の展開の保障を意図して, 江戸期の歴史学を保存する授業内容を構想している。この課題に, 教育実践に関連づけて教科内容の研究に取り組む【課題】(教科内容学会, 2014)を前に, さらに社会科教育研究でも【課題】に着手されてきていない現状を前に, 次の観点から取り組んでいる。(1)櫨蝋燭作りの仕事(大野実践)を江戸歴史学の学習の起点とするには, 歴史学のどの内容にまず着眼して, 教授学習過程が成立するように発問を作る必要があるのか,(2)櫨蝋の生産・流通に焦点を当てて【法則】(農業の発達を土台として商業が発達すれば幕府は崩壊する)学習を構想するには, 歴史学のどの内容をどのような発問に「仕立て直す」必要があるのか。この検討を通して本稿は, 櫨蝋燭を作る仕事から歴史学への思考の展開を図る, 教科内容学の授業内容を提出している。
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