2015 年 10 巻 p. 60-71
本稿は,スクールソーシャルワーク(以下SSW)を含めたソーシャルワーク(以下SW)のスーパービジョン(以下SV)における近年の研究動向と研究課題を明確化することを目的とする.「CiNii」にて過去10年分の50論文を研究対象として選定し,領域,目的,研究方法,主な結論に整理,分析した.その結果,2010年以降は年間5本以下と少ない論文数に留まり,領域別では実習・演習分野が12本(24.5%)と最も多いことが分かった.研究方法の累計では実践省察や事例研究・報告が最も多く,研究内容では実態把握が最も多かった.量的研究と質的研究によってSVのシステムや形態,SVによる変化や効果を実証的に明らかにする研究は7本と少ないことも明らかになった.SVシステムの構築やSVモデルの開発研究はなかった.以上から.これまでSVに関する実証的研究の不足が指摘されてきたが,近年もその傾向が続いていると言えるであろう.