ネグレクト状態にある子どもは不登校になりやすいと経験的には言われているが,その関係を明らかにした研究はない.そのため全国の市区町村が対応したネグレクト事例における不登校の割合や他の項目との関係を主に数量化I類を使って分析した.
まず年齢別の不登校の頻度については,市区町村が対応したネグレクト事例の6歳から8歳の約20%,9歳以降で約30%.12歳以降でおおむね50%以上が不登校であった.特に14歳では約62%の子どもが不登校であった.
また子どもの状態と不登校の関係は,家で食事がない,子どもの不潔など,子どもに直接被害がみられる項目は不登校に抑制的であったが,家の不潔や保護者の対人関係,病気や障害経済困窮などの家庭状況はすべて子どもの不登校に促進的であった.
ただこの研究は方法にさまざまな制約があり,探索的な研究として結果は限定的に捉える必要がある.
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