抄録
本稿は,スクールソーシャルワークの基礎理論の構築に向けた端緒として,一番ヶ瀬康子の児童福祉研究の検討を通じてスクルソーシャルワークにおける「子どもの生活」への視座について考察を行うものである.一番ヶ瀬の児童福祉研究において,子どもの生活の中心は「遊び」であり,子どもは「遊び」を通じて成長•発達権を実現する主体として位置づけられる.そして,成長・発達権の基盤となる生存権および環境権の保障について,おとなの果たすべき役割の重要性を強調する.また.資本主義社会における学校が,能力主義的側面と,子どもの生活の場としての側面の二面性を抱えていることを指摘した上で,学校および地域社会の双方の変革の必要性を提起する.一番ヶ瀬の子ども観と学校観は,資本主義社会体制がグローバル・スタンダード化する時代状況での「子どもの生活」をとらえる上で今なお確かな視座を提供するものである.