抄録
本調査研究の目的は,全国の適応指導教室を対象に,学校復帰に向けてどのような取組が効果的であったかを調査することにある.調査は,東日本大震災の被害があった岩手県,宮城県,福島県を除く1,169か所の適応指導教室を対象に,アンケート調査を実施した.調査期間は,平成23年11月15日から平成23年12月15日であった.
本調査の回収率は, 37.5%であった.調査分析の結果では,学校復帰に向けた効果的な取組としては,「学校との協カ・連携」「指導員と子どもとの人間関係形成」「保護者との連携」「体験活動」などが上位に掲げられていた.特に「学校との協カ・連携」では,「新学期に向けた取組」「学期中の登校の促し」「学校内の受け入れ」「学校からの適応指導教室への協力」「学校と適応指導教室との定例会議」などの意見があった.
今回の調査では,子どもたちへの支援で抱える課題として,予算上における指導員数・指導員身分・教室数・教材等の課題が指摘されていた.また,子どもたちが不登校になった場合,適応指導教室にて十分な教育が保障される環境とはなっていないという現状が見られた. さらに,発達障害の子どもへの専門的支援や家にひきこもっている子どもへの家庭訪問が求められる状況も見られた.