抄録
本研究は自治体の子ども虐待への予防的対応を実態調査から把握し,対応の支援課題を明らかにする.要保護児童対策地域協議会は94%で実施されていたが,小規模な自治体は要保護児童対策地域協議会の設置や運営面で対応に課題がある.また乳児家庭全戸訪間事業の実施状況では,児童相談所を設置しない中核市では一次的対応からの引き継ぎが課題である.さらに児童相談所や教育委員会との連携が進まない自治体では予防的対応に課題がある.自治体の実施事業では適応指導教室が多く,子どもと親への支援プログラム数は少ない.子どもは多様で困難な問題を抱えていると見られ,子どもの困難や不利な状況を可視化して,間題の性格を捉え対応していくことが課題である.