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Print ISSN : 0289-6540
プロセス分解代数に基づくデータフロー図の段階的詳細化における変換の一意性と再利用性
鈴木 英明高橋 直久
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1993 年 10 巻 5 号 p. 5_413-5_437

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抄録

構造化分析手法では,データフロー図(DFD)を段階的に詳細化して要求分析する.我々は,これまでに,データストアと内部データフローを考慮したプロセス分解代数を提案し,これを用いてDFDの段階的詳細化作業を定式化している.このプロセス分解代数は,DFDの入出力記号の依存関係から,「抽象化バランスが均等なDFD」を得るための文の変換系である.本稿では,このプロセス分解代数により得られるDFDに対して形式的定義を与え,その性質について理論的考察を加える.特に,(1)提案したプロセス分解代数におけるオペレータを用いると,必ず正規文と呼ぶ「抽象化バランスが均等なDFD」を表現する文が得られる,(2)得られる可能性のある正規文の集合において,一意に定まる代表元が存在し,この正規文の集合の要素から代表元に変換する手続きが与えらる,ことを証明して,変換結果の一意性,すなわち,プロセス分解代数によりDFDが一意に定められることを示す.また,任意の正規文から代表元を求める効率的な計算方法について議論する.さらに,2つの変換結果の合成が可能であり,既存の変換結果を再利用できることを示す.

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© 1993, 日本ソフトウェア科学会
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