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Print ISSN : 0289-6540
マルチエージェントシミュレーションを用いた劇場型産業における価格制度に関する研究
福谷 康二西野 成昭上田 完次
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2008 年 25 巻 4 号 p. 4_181-4_189

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抄録

現在,劇場チケットは席によって1種類または数種類の価格が設定されている.しかし消費者の効用を考えると劇場チケットの価格は本来コンテンツの質と環境を含めた席の質を考慮して柔軟に決まる必要があり,現状の定額モデルは最適な価格設定と財の割当を達成する制度とは言えない.本研究ではオークション理論を用いた劇場型産業の座席予約モデルを構築し,マルチエージェントシミュレーションを行うことで,現行の定額モデルとの違いを分析する.また完備情報下での均衡解と不完備情報下での学習を用いたシミュレーション結果との比較も行う.結果として,提案するモデルは入場者数の増加が見込めること,想定した全ての留保価格の分布パターンで提案モデルは現行モデルより総余剰が増加すること,価格が1種類の定額モデルと比較して多くの場合で消費者余剰,生産者余剰が増加することが確認された.

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© 日本ソフトウェア科学会 2008
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