日本語文章推敲支援ツール「推敲」は機械可読な形で存在する日本語文章を解析してその推敲に役立つ情報を提供することを目的としたシステムである.しかし,「推敲」は,開発に先だってその仕様を明確に与えることができない,ユーザインタフェースがこのツールの品質を大きく左右する,などの特徴を持っているソフトウェアであるため,このツールを従来のライフサイクルモデルに基づく方式で開発することは困難である.そこで「推敲」の設計開発にプロトタイピングの手法を用いた.プロトタイピングは,(1)手探りの段階,(2)仕様の確定,(3)性能の改善,(4)仕様の変更の4段に亘った.本論文では「推敲」の開発経過を述べ,プロトタイピング手法の有効性を評価する.