2020 年 37 巻 1 号 p. 1_114-1_124
両面観察可能な半透過凹型半球面ディスプレイ「DisplayBowl」は全天周画像を見るための半球型全周囲ディスプレイである.半透過凹型半球面ディスプレイは上から覗くことで,撮影地点を中心とした正距方位図法での「俯瞰」観察が可能である.また斜め上から角度を付け,凹型半球面の内側を覗くことで,前方の画像を「一人称視点」で観察,凹型半球面の内側と外側を同時に覗くことで,撮影地点を斜め後ろから見ているような「擬似三人称視点」での観察が可能となる.半透過凹型半球面ディスプレイではこの3通りの見方を両立させることで,今までの平面ディスプレイやHMDで問題となっていた,遠隔物体のコントロールを行う際に「後ろで起きていることに気づかない」という問題を解決する.本論文では,半透過凹型半球面ディスプレイのアプリケーション例としてドローン操縦用のディスプレイを例に挙げ,予備実験から半透過凹型半球面ディスプレイの特性と利点の分析を行った.