2024 年 41 巻 3 号 p. 3_97-3_114
組込みソフトウェアの大規模化・複雑化に伴い,高い信頼性を保ちつつ豊富な機能を実装する手法が必要とされている.プロセッサごとに機能を分割して実装する方法はコストや面積,電力等の観点から不利であるため,仮想化技術を利用して同一のプロセッサ上で複数のソフトウェアを動作させる試みが幅広く研究されている.特にARM社のTrustZone拡張は2種類のOSを動作させるデュアルOS環境を実現することができる.アプリケーションプロセッサにおいてデュアルOS環境に応用した例は多いものの,マイクロコントローラに対して適用した例は少ない.本研究ではTrustZone機能を実装したARMv8-Mアーキテクチャ上で動作するデュアルOS環境 SafeG-Mを提案する.提案手法は既存のリアルタイムOSに小規模な変更を加えることで実現され,評価実験においてわずかなオーバヘッドで動作することが示された.